【インタビュイー】株式会社 船井総合研究所 DX推進室
チーフコンサルタント 森本 結佳
【インタビュアー】株式会社 船井総合研究所 WEBマーケティングユニット
シニアプロフェッショナル 宮井 亜紗子(以下宮井)
1.データドリブン経営とは
データドリブン経営とは、勘や経験だけではなく、実際のデータに基づいて経営の判断を行っていく手法の1つです。
本記事では、データドリブンのメリットや活用方法、注意点などをご紹介します。
2.データドリブン経営が注目されている背景
宮井
昔から勘や経験だけではいけないという話はありました。
しかし、最近よく聞くようになってきています。
何か環境の変化等があるのでしょうか。
森本
2点あります。
①データサイエンティストが登場
データに基づき判断する際に、勘や経験だけでは気付かないデータ同士の関係性などが含まれることがあります。
そこに、データサイエンティストの需要があります。
データから新しいビジネスチャンスを見出すことにつながっています。
②データ量の増加
ゆくゆくはAIやデータベースを使った分析などを用いて、自社の強みを発揮していく、経営の新しい資産としてデータが注目されてます。
3.データドリブン経営のメリット
森本
データドリブン経営のメリットは、3点あります。
①勘や経験に頼らないということ
勘や経験が無い若手でも、経験豊富な人と同じような業績を上げられることです。
宮井
船井総研では昔から経営者の方と対峙するときに
「自分の経験や考えはいらない。データでものを語るから経営者も聞いてくれる」というような話があります。誰が言っても、誰が見ても同じということですね。
②データ活用で、より正確な未来予測ができること
森本
勘や経験は引き継げませんが、データは引き継げます。
データの蓄積量に伴い、学習精度が高まります。
新しい未来をより正確な方法で予測して新しい経営判断ができます。
宮井
中小企業の経営には非常に役立ちそうですね。
創業オーナーが勘と経験で切り開いた後、2代目、3代目がつまづくケースがあります。
データドリブン経営の実現で、創業オーナーの勘と経験もデータとして引き継げますね。
③外部環境のデータで、事業環境の変化をすばやく察知できる
森本
自社内のデータだけではなく、自社の事業環境を取り巻くデータを取り入れると、新しい事業環境への適応のスピードを高めることがあります。
実際に経営者が気づくよりも早く、外部データを取り込み、新しい事業環境の変化を検知できます。
結果、経営の判断を早める一助になります。
例えば、お客様のニーズの変化です。
・今まで売れていなかった商品が売れる
・今まで売れ筋だった商品に少し売上の伸び悩みが見られる
などに、いち早く気づけます。
原因を考え、データ分析を続けることが、今後の新しい経営のスタイルです。
宮井
外部データを取り込むとは、どういうことですか。
森本
例えば、ゼロパーティーデータと言われるものがあります。
直接お客様からいただいた生の声のことです。
商品に対する感想やコメント、クレームなども含まれます。
これらが会社にとって、次の新しいサービスを生み出す源泉となる一次データになります。
それを、今までは、接客する一人一人が聞いて、その中で留まっていました。
データ化することで全社で共有、分析できます。
具体的には新しいお客様からのキーワードを単語で分析をして、
・どういった単語が頻出しているのか
・どんなニーズが高まってきているのか
を察知できます。
4.データドリブン経営の手順
森本
まずは、自社の事業を支える根幹となる強みの棚卸しです。
既にあるデータを分析してそこから見出すやり方もあります。
逆算の発想から、現在うまくいっている要因を分析するために、どんなデータを集めれば検証できるかの仮説を立て、検証するためのデータを溜める仕組みを作ります。
目的ありきのデータドリブンが一番おすすめです。
今あるデータで分析しようと考えがちですが、何を検証したいかが重要です。
そのためのデータ集めから始める必要があります。
宮井
データを取得していく時、仮説でデータの取り方は変わりますか。
森本
データの取り方は現在様々な手段があります。
・アンケートのデジタル化
・実際の購買のデータ
・ECショップなど、ネットでの購入履歴
これらは購入した段階でデータになるため、そのまま活用できます。
お客様が購入される手段をなるべくデジタルにして、データを取ることで、お客様の行動や考えや音声も含めてお客様の生の声をデータ化できます。
できる限りデータで残していくことを進めましょう。
5.データドリブン経営の注意点
宮井
データドリブン経営で、失敗しやすい例や注意すべきことはありますか。
森本
目的や仮説なく、データの分析を始めることです。
その場合、偏ったデータから物事を判断してしまうことになります。
例えば取りやすいデータから取ると、偏った結果が出てしまうことがあります。
目的、仮説を検証するためにどんなデータを集めるべきかを考え、データの収集を計画的にしないと正しい判断につながりません。
オススメは、データのフォーマットを最初に設計することです。
取りたいデータにあまり偏りすぎるのは良くないです。
・データ収集から分析までのプロセスに時間がかかること
・データが綺麗じゃない状態のため分析が困難になる
ケースが散見されます。
スタッフが接客する前に
・どういうことを聞くのか
・どういう聞き方ならば、有益なデータをきれいな形で残せるか
を選択式にして統一します。
これらを含めて設計すると、素早いデータ分析から経営判断ができます。
お問い合わせは下記よりお願いします。
https://www.funaisoken.co.jp/form/consulting
他にも、最新の業績アップ事例を踏まえて、事業に役立つ情報を発信していく予定です。
楽しみにしていてください。