人口減少に伴う市場規模の縮小について
2050年には人口が9,515万人になるということですが、総数が減るだけではありません。
高齢の方の人口が増えていくということで、実際のインパクトとしては、今の人口構成のまま1億人を割り込むのではなく、より高齢の方が多く、若者が少ないような形で9,500万人なってしまうというように人口は減っていきます。
そうすると、今の事業の延長線上でいくと市場規模も当然減少していくのです。
これは予測されている未来だと思います。
それに対して、例えば、2021年を起点に売上が100億円の会社があったとします。
これから新規出店ができない、既存の事業ではかなりやり切ったという場合に人口減少の影響を受けて市場が縮小していって売り上げが減っていくとします。
毎年、例えば3%、5%、7%というようなかたちで少しずつ減っていった場合に、3%ずつ減っていくと2040年の時点では売上が56億円になってしまうということです。
毎年の減少は軽微でも10年~20年スパンでみると大きな減少に当然なります。
これは当たり前の話ですが、こういった長期ビジョンを考えた時に、果たして売上や市場はどの程度縮小していくのか。
ここに対して経営者の方々に我々インタビューさせていただくと、結構楽観視している方々が多いなという印象です。
例えば「市場が縮小して、売上も減少いていきますが、大丈夫ですか?」というような経営相談をした時にこういった話になります。
「確かに市場は縮小していくかもしれない、ただ、利益率を追及してコントロールしていきます。売上が下がっていく分、採用人数の部分をコントロールしていくので売上は横ばい、または微増、もしくはステイしていけばいいかなという感じです。」
そして、今のお店は堅実にやっていきたいという方やこのような意見を持たれる方が多いですが危険な考え方です。
いわゆる「縮小均衡」というような形の考え方をとった時に、市場減少よりも一気に売上が下がってしまうリスクがあります。
結局、何が起こるのかというと、売上成長が鈍化する、新しいポストが生まれない、採用する必要が無くなる、売上事業規模が現状維持から縮小となっていったときに、ここが痛いです。
いわゆる中堅社員の方の離脱というのはどういうことかというと、売上規模が大きくならないとなると管理ポストを作り出すということができません。
そのため、昇給昇格する余地も徐々に減っていく。
そうなっていくとずっと俺はこのポジションなのか、ずっとこの役割なのか、ずっとこの仕事なのかというところから中堅社員が途中離脱していくという傾向が出てきます。
売上が現状維持から縮小というようになると、なかなか新しい投資やチャレンジがしにくい会社になっていって、結果、縮小していくという形でループしていきます。
そのため、売上高成長率が鈍化していくとお客さんが減るということもありますが、働き手が一気に無くなって、段階的にどんどん売上が下がっていく、会社が小さくなってしまうというリスクもあります。
この点は、本当に抑えていただきたいと思います。
新規事業展開のタイミングについて
なぜ「新規事業はこれから検討している場合ではない」というふうにお伝えさせていただいたかというと、もう既に2~3の新規事業をスタートさせている会社や検証し、いくつか始めている会社が多いからです。
今後も地域の中で有力な企業として戦っていこうと決意している会社においては、既に2~3の新規事業はスタートしています。
この温度感を皆さんにも是非ご理解いただきたいです。
ただ、ちょっとうちの会社は出遅れたかもしれないという場合でもギリギリ間に合います。今、コロナウイルスの影響があって、皆さんいろいろな新規事業や店舗戦略を一旦ストップして、一旦白紙に戻して、今後10年間、20年間の経営を見たときに何をやるべきかということをフラットな目線で考え出しています。
そうなってくると、コロナの終息が今年(2021)年の夏以降になると思いますが、どんどん新規事業案件の話が出てきます。
今まで出てこなかったような物件が出てきたり、今まで出てこなかったようなM&Aの話が出てきたり、そういった良い話が、絶対にこの夏以降に話が出てくるのです。
船井総研としても新規事業の相談が特に激増するのが夏以降だと読んでいます。
既に今の時点から新規事業セミナーを開催すると、30名を超える方々に参加にお集まり頂いておりますので、必ずこの後、新規事業の検討の波がきます。
そうなった時に、是非皆さんは出遅れないで頂きたいなと思います。
必ずそのタイミングが来た時に、やるべき方向性は定まっているような状態でいて欲しいです。
そのため、この勝ち組・負け組の分岐点というところで、今後10年間の経営で売上高を成長させていく、そして、採用人数を絞るという考えではなくて常に新しいメンバーや仲間を加えていくことを前提にしていく、そのために原資を稼いでいく、ここを明確に設定できるかどうか、経営ビジョンとして設定できるかどうかは非常に大きな分かれ道になっています。
「展開商圏」と「展開業種」の方向性について
具体的に言うと、原資を稼ぐと言いましたが、そのためにやるべきことはマトリックスで説明ができると思います。
縦軸が展開商圏で、横軸が展開業種です。
まずは、地元の商圏で既存の事業一本で行っていく、地域一番店で高収益化をしていきましょうというところが大前提です。
しかし、これだけやっていても、先程説明をした人口減少の影響をカバーするような売上にはならないです。
これだけでは10年後も20年後も新しい仲間を加えて加速規模が大きくなっていくかというとたぶん難しいです。
そのため、日本の特定地域から全国へ、もしくは世界へといった形で商圏を拡げていくのかという形で商圏をさらに拡大していくのか、また、事業としては今やっている事業というのをしっかり深掘りしながらも関連する事業なのか、全く違うような事業なのか、それを展開していくということでAの道なのか、Bの道なのかをいち早く決断するかどうかが勝ち組・負け組の分岐点になると我々は思います。
例えば、業種の例でいくと、非常に成熟しているケースでいくと、パチンコ企業様というのもかなり成熟しています。
パチンコ企業様においても、おそらく地元商圏でパチンコ事業一本でやって生き残っていくというのはたぶん無理だと思っています。
パチンコ事業で全国展開して大きくなっていこうというのも本当に一部の資金力のある会社しかできない戦略です。
どちらを選択するのかをいち早く決めなければならないということです。
早い段階で、今後進んでいくべきルートを決め、リスク回避のために何をするか、新しい事業を立てるのか、そしてそれを第二本業として育てていくような覚悟は持てるのか、これが分岐点になります。
そのため、この勝ち組・負け組の分岐点という部分においては「展開商圏」と「展開業種」の方向性を選ぶこと、これをいち早く決断することだということを最初にお伝えさせて頂きたい内容だと思います。