明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

無料経営相談 0120-958-270 (平日 9:00-18:00)

文字サイズ
標準
拡大

対談集

プラス会員様限定

士業



竹内:では次に、エリア開拓についてお聞きします。道東ではブランド力をお持ちですが、新規で札幌周辺、さらに道央、道北を開拓していくのは、かなり大変だったのではないかなと思うんですが。

福田専務:そうですね。当時、私ともう一人のスタッフで、飛び込みでJAに頻繁にアプローチをかけてやっていました。今となっては道北や道央エリアでもオーレンスの名前を少しは周知いただいている状況ですが、当時はやっぱり門前払いもありましたね。それでも懲りずに何回でも行き続けていました。

竹内:なるほど。今後、次の代表として福田専務がいずれトップになられていくということもあると思うのですが、福田専務のお父様が創業者である中、税理士資格をお持ちでない高橋社長が入ってきて、これだけ組織を大きくしてこられました。結構プレッシャーじゃないかなと思うんですが、そのあたりはどう捉えていらっしゃるんでしょうか。

福田専務:これは先代の福田会長や、高橋社長からもちょっと言われてきたことですが、守ろうと思うと、とてつもないプレッシャーなんですよね。だけど、先人たちが培ってきていただいた一つの基盤、材料を、より発展的に地域や社会に貢献していく、まぁ一つの糧と考える。いわゆる攻めのスタンスですね。そう考えると少し気持ちが…和らぐかなと。これを素直に信じてやっています(笑)


JAに働きかけて北海道エリアの顧客をさらに開拓

今後のチャレンジ

竹内:では、オーレンスグループの今後のチャレンジについて、段階的でも結構ですので教えてください。

福田専務: まず、既存のサービスを信じてついてきてくださるお客様に対しては、今の商品とサービスは徹底的に磨きをかけます。これを前提に、エリアの話です。オーレンスのシェア率がちょっと薄い道南エリアに力を入れていきます。あとは、昨年、東京に拠点としての足掛かりをちょっと作らせていただいたので、そこを軸に北関東への戦略を持っています。あとは、函館の拠点を軸に北海道新幹線ができましたので、東北のマーケティングを今年、来年でやっていきたいなというところです。

竹内:なるほど。ありがとうございます。

福田専務:サービス面では、長年、会計や税務で培ってきた膨大な数値的な材料を活用して、お客様、農業経営者に、より役立てられるような仕組みをつくっていきます。そして、新たなコンサルティングサービスの付加ですね。やはり酪農業界も未曽有の人不足ですので、ただ募集してもなかなか人が来ないんです。ちゃんとした見せ方を、会社組織でしていかなきゃならない。そういう公用の受け皿の整備ですとか、人を紹介できるようなビジネスを準備しています。 あとは、この業界は分業化が進んでいくと思います。TMRセンターもその一つですが、牛の育成保育、農地の集約化、労働力の集約化、収穫作業の集約化、これに向けた法人化、分業化についても積極的に支援していきたいです。
今、マッチングビジネスが世に出てきていますけども、私どもが特に焦点を見定めているのは、残念ながら後継者がいなくて離農を控えられているところと、たとえば地元の建設業や土木業、運送業なんかとマッチングをして、そういう方が安定的な経営を担っていけるようなご支援ですとか、このあたりを実現していきたいなという考えがあります。

竹内:酪農や農業経営者と真剣に向き合ってきたからこそ、今のお客様が抱えている課題を解決できるサービスや商品を広げていかれているという印象です。 たとえば本州、四国、九州といったエリアには、なかなかこの分野を強く経営をサポートできる団体や組織がありませんので、ぜひ東北を足掛かりに、広げていっていただきたいなと思います。


東北エリアのマーケティングも視野に入れている

健全経営

竹内:実はもうひとつ、オーレンスグループの経営としての本当の凄さは、税理士事務所として当然なのかもしれませんけど、その財務状況です。例えば自己資本比率という指標ひとつとっても90%弱と、かなりきれいな数字です。このあたりは創業者の福田会長の意向もあるかと思います。高橋社長、いかがでしょうか。

高橋社長:昔、税理士事務所時代は借金が多かったですね。当時、7名の給料を払うのも大変でした。その中で、やはり「備えあれば憂いなし」という言葉を思いましたね。常に内部留保を意識して経営をしなさいということを言われてきました。とにかく内部留保しなさい、税金はちゃんと払いなさいと。とはいえ、あまり内部留保していくと、なぜ投資しない?と言われます。だからソフト投資、人に対する投資、システムの投資をしながら内部留保する、そのやり方を常にバランスよくしていくことを徹底的に教わりました。


人の足りない農家等に人のマッチングビジネスを模索

竹内:おそらく、グループの総資本が21億くらいあって、そのうち自己資本が19億くらいでしょうか。創業45年ですから、年間換算しても4~5千万をためてこられたと。高い利益率であるのはもちろんですが、税金をしっかり払うためには、当然、利益を出さなければなりません。酪農家の税務申告はそれほど高単価ではないと思いますが、数多くこなすことによって、それを可能にされており、生産性が高いビジネスモデルだと感じます。
その一方で、一番削りやすいのは、実は人件費じゃないかと思うんですが。こう言うと失礼ですが、会計事務所業界ではかなり高い支給額ではないかなと思います。高橋社長、社員の報酬に関してのお考えはありますか?

高橋社長:基本的には、ほかの会計事務所がどうであるか…ということではないですね。中標津の田舎にあって、札幌の会計事務所とどう違うのかではなくて、一般の企業として、どういう差があるのかと。そこを近づけていきたいという考えがあります。

竹内:なるほど。僕が印象的だったのは、中標津では、おそらく中標津役場の給料が一番高いんじゃないかと。それよりも高い給料を出したい、というお話をされていたことです。人も大事、お客様も大事、でも利益は出して、内部留保も投資もしていくと。かなり理想的な経営をされていると感じます。 高橋社長、今までの成功要因をご自身なりに分析すると、いかがでしょうか。

高橋社長:あくまでも仕組みづくりだと思います。人を最大限に動かすための仕組みづくり、ソフト作りをする。それが循環してくると思うんですね、一人ひとりが1,500万、2,000万の売り上げを目指してく。使命感を持ってやってもらっているのが、かなり大きいと思いますね。 農業だけでなく一般の企業の経営者ともお話ができる、もちろんそれには緊張感もありますし、責任感もあります。でもそれを超えたお客様との信頼が生まれてくると思います。特に酪農の場合は、一回信じていただけたら、裏切らない限りは、ずっとその人間を信じ切っていきます。そういった意味では、値段が安くても今だけを見るんじゃなく、5年10年、ひょっとしたら50年先を見て、僕らはビジネスをしてるんじゃないかなというふうに思います。これからも次の世代の50年をちゃんと描いてやってもらえれば、安泰だと思います。

竹内:ありがとうございます。
では福田専務、同じ質問になりますが、今まで成功要因というのは、どういうふうに捉えていらっしゃいますか?

福田専務:やはり定着した文化というのは大きいと思います。最初は従業員を将来的に守っていく目的だった利益を上げるということが、途中から、いっぱい稼いで、いっぱい顧客や市場に還していこうと変化していった。これが幹部に浸透している本質的な文化なんじゃないかなと。いろいろ企画していく中で、私も年上のベテランスタッフと向き合うことが多いんですけども、そこであらためて、やっぱりすごいな!と思うところが多くあります。

竹内:なるほど。会計事務所は税務申告をするという基本業務がありますが、オーレンスグループは酪農農業を中心とした経営者、さらには経営そのものに影響力がある仕事をされているなと感じます。 グレートカンパニー大賞受賞企業として、これからも多くの企業のモデルとなるような経営をしていっていただければと思っております。本日はありがとうございました。


内部留保の多い健全経営

<< 前へ 【1】【2】【3】


高橋武靖氏 高橋 武靖(たかはし・たけやす)氏
オーレンスグループ 代表取締役社長

本社所在地:北海道標津郡中標津町北町2丁目22番地
設立:1989年12月(福田紀二税理士事務所は1971年創業)
資本金:4,000万円
従業員数:約110名(グループ全体 2016年8月現在)
事業内容:農業経営コンサルティング、財務コンサルティング、各種システム開発・保守・運営
http://www.fmc-net.jp/group/

※ 企業プロフィールは、受賞当時のものです。
竹内 実門 竹内 実門(たけうち・みかど)
株式会社 船井総合研究所

昭和43年生まれ。帯広畜産大学畜産学部卒業、大手専門店バイヤーを経て、平成9年船井総合研究所に入社。船井総研において会計事務所を税理士法人事務所を中心にコンサルティングを行う。年間200日を現場における業績アップ向上支援に充て、全国を駆け回る。コンサルタントとしてのポリシーは「日本経済復活のためには会計事務所のパワーが不可欠であり、そのために尽くす」こと。