明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

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対談集

消費財メーカー



中野:船井財団主催『グレートカンパニーアワード2015』において、「顧客感動賞」を受賞された 株式会社工進の小原勉社長にお話を伺います。 工進は、噴射器を中心とした狭属性一番主義の小型汎用農業機械メーカーでいらっしゃい ます。利用者の声を聞くため、実際の使用現場に足を運ぶ姿が印象的です。研究部門の人 が試作品のデモ機を持って、「お使いいただいてどうですか?」と農家のおばあちゃんのお 宅などをまわっていますね。販売会社ではなくメーカー自らというのは、なかなかないと思います。

小原社長:何に困っていらっしゃるかは、やっぱりユーザーのところに行かなければ、わからないからね。

中野:工進では、お客様が本当に望んでいるものを見極めないと製造許可が下りないですよね。 これは本当にお客さんが欲しい内容なの?と社長がおっしゃいます。先に技術があるので はなくて、欲しがっているものを作りなさいという発想ですね。 メーカーとしては、シェアを取るためには物量をさばかなければならない。でもそれより も先に、常にお客様の視点でお考えになってらっしゃる。だから今があると思います。

事業規模の広がり 海外展開の理由

中野:長年、エンジンポンプという水を吸うエンジン付きの農業用機械を、精度を上げて作り続 けていらっしゃいます。これを単身でチャネルの動きを見定めて、世界に打って出られま した。しかも海外では商社に頼むのではなく、自社で販売されていらっしゃいますね。

小原社長:はい。一度は商社を介してアジアの国に出たんですが、国内がちょっと低迷した時に考え 直しまして。もう一回世界を歩いて、この商品を世界の市場に出していこうと。それには 人に頼らず、「自分で作った商品は自分で売る」という考えを持ちました。僕は英語も十分に話せませんでしたが、若い20 代の社員を連れて3 年間、1 年のうち100 日は海外に行きましたね。アジアはもちろん、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ、南米… 一通り歩きました。

中野:歴史的にいうと相当早いですよね。それも社長が自ら自社の製品を持って、いわば行商されて回られていたと。小原社長はいつも、「やっぱり市場を見なきゃ」とおっしゃいますね。 売る相手を、お客様を、マーケット見ようと。今でもチャネルの動きなどにも凄く敏感で、 社員よりも先にもっと新しいルート考えないと!とおっしゃいます。そういう部分がずっ と受け継がれてきているのだと思います。 お客様が儲ける手段を提供すると明言されているのも、その表れではないでしょうか。農 業機械の販売店さんを定期的にお集めになって、社長が商品説明をされています。販促と いうと、カタログやパンフレットを相手にお送りして終わることが多いのではと思います。 ところが工進さんでは、お客様が売るための道具、営業ツールとして、チラシを作って提 供しています。これはやっぱりWIN-WIN じゃないとダメっていう発想ですよね

小原社長:実際にお客様に喜んでもらえればね、あぁ、やっぱりいいなと。そうやって商売を覚えて きたからね。営業マンが「うちの商品にはこんな特長があります!」と説明したところで、 お客さんから見たら大して違いがわからないという場合もありますからね。

中野:そこはやっぱりお取引先様やお取組先様も、結構シビアに見てますよね。売上構成比でい うと工進の商品でなく、メインで大きいのは他にもある。でも彼らは工進さんのそういうところに賛同するから評価がついてくる。 お客様の欲しいものを見定めて考え抜いて作ってこられたというのが、やはり凄い力だと 思います。その中で、もう背負わないシリーズ、あれは面白かったですね(笑)

現場主義の商品開発

小原社長:はいはい(笑)

中野:噴霧器という背負って使う重たい機械を、背負わなくて済むように作ればいいんじゃな い?と手押しの車輪付きを開発したり。全部、顧客基点ですね。

小原社長:それはね、70 歳以上のおばあちゃんが背中が痛いからと座布団をあてて噴霧器を背負って たんです。しんどそうに。そうまでするほど、やっぱり大変なんやなと。それなら背負わ なくていい噴霧器をと、背負わないシリーズをいろいろ出したんです。 やっぱり現場を見ないと。同業者だけ見てたらね、よそはこうだから、うちもこれでいいわと、こうなりますよね。

中野:なるほど。 日々、お客様から新製品開発のヒントを得ていらっしゃるからこそ、技術ありきではない んですよね。競合製品ありきでもない。当然、ものづくりの会社として同業他社の製品も しっかり見定めていらっしゃいますが、もっと先の、使う方の本当の望みをちゃんと聞け ということですね。

メーカーとユーザー、問屋と小売、やっぱり距離があるでしょう。本当のお客様の声は、 なかなかメーカーに入ってこない。だからやっぱりお客様の声を聞きに行かざるを得ないです。お客様の声としてフリーダイヤルがあります。コストもかかるけれど、やっぱりお客様の 本当の声を聞かせてもらうためには必要ですね。設置して 20 年以上になります。年間で 14,000 件くらいのご不満やご要望など、いろいろな声が入ってきます。その中にやっぱり ヒントがあるんです。ほかにもストアコーディネーターとして全国に30 名強の女性がいて店頭を巡回しています から、そこからは店頭の声が入りますね。大きな情報源です。

女性の活躍~ストアコーディネーター~

中野:このストアコーディネーターは、皆さん主婦のパートさんなんですよね。これもかなり早 い段階から取り組んでこられて相当な歴史があります。化粧品メーカーでいう美容部員の ような働きで、商品の指導員のように店内を巡回していらっしゃいます。買い物をする主 婦の目線ですから、これもうまい仕組みですね。また、販売店さんの店頭を活性化するこ とに成功しています。わが社の製品を入れたところは業績を適正化しますと。売れるよう な働きを、ストアコーディネーターである女性がおやりになる。農機業界は女性スタッフ が極めて少ない業界といえますよね。だからその中に女性目線を入れるという発想自体が めずらしいと思います。 ところで工進さんには海外の営業担当にも女性がいますよね。単身で南米に行かれたりし ていますが…。

小原社長:そうです。大学を卒業後、「私は海外で営業したい」と来てくださいました。最初の1 年は 一通り商品の研修をして、その後すぐに海外に放り出しました。

中野:すごいですよね。商談に行ってきなさいと。

小原社長:おっしゃるように女性が、まして海外に機械の営業に行くことは、なかなか他の会社ではないですかね。


製品を取り扱う全国のホームセンターには、女性パートの「ストアーコーディネーター」を配、販売店支援に力を入れる。

中野:エンジンポンプを持って女の子が売りに行くんですよ?ちょっと考えにくい(笑) 北米でも南米でも、バリバリ行かせますからね。リスクもあるけど覚悟もやっぱり凄いと思いますよ。工進さんには営業、販売研究所、どこの部署にも女性がいらして、どちらかというと男性 的な業界でありながら女性が活躍していますね。

小原社長:私としては、営業でも開発でも、考え方は一緒やと。世の中の半分は女性なんだから(笑) 最初は、管理職は反対しましたよ。しかしね、女性を採用して実際に仕事をやっていただ いたら、今度は「あっ、社長。女の子の方がよろしいね」と。最初は手間もかかるかもし れないけれども、女性の方がよろしかったと、こういう声が出てきますね。

中野:どういった点が良かったんですか?

小原社長:やっぱり指示したことをきっちりやってくれるからね。安心できますね。だから女性が増えるようになりました。

中野:他の企業さんは女性を取り入れたいと思っても、なかなか難しいというところも多いと思います。そこは意思決定でしょうか。

小原社長:そうそう。やっぱりトップの強い想いがないとね。 うちのストアコーディネーターは、店頭巡回なんてやった経験もない、ましてやポンプや 噴霧器なんて全く縁の無い女性ですよ。これもトップがね、女性にそういう仕事をやって もらうという強い想いがあれば、彼女たちも答えてくれますよ。知らない商品なら勉強もするし。

中野:なるほど。工進さんでは、本当の意味で女性が第一線で働いていらっしゃいますね。



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小原 勉(こはら・つとむ)氏
株式会社工進 代表取締役社長

本社所在地 : 京都府長岡京市神足上八ノ坪12番地
設立 : 1948年
資本金 : 9,800万円
従業員数 : 190名
事業内容 : ポンプ・噴霧器の製造及び販売
中野 靖識 中野 靖識(なかの・やすし)
株式会社船井総合研究所

ビジネス全般にわたり幅広いコンサルティングフィールドを持つ。国内企業を支援することで「強い日本の再生」を自らの志とし、大手企業から中小零細企業まで、がんばる経営者、現場責任者のサポーターとして活動している。主にコンシューマー向けの企業の現場における具体的な活性化業務に従事し、メーカーの経営戦略立案、展開サポートに多くの成功事例をもっている。


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