モデル企業ルポ
(グレートカンパニーレポート)

行政書士/社労士

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SATO GROUP SATO GROUP
代表: 佐藤良雄
職員総数: 555名
 
創業: 1977年2月
設立: 2004年8月
所在地: 〒060-0906 札幌市東区北6条東2丁目3番1号
 
設立: 2003年4月
所在地: 〒060-0906 北海道札幌市東区北6条東2丁目3番1号
〒070-0031 北海道旭川市1条通9丁目50番地3 旭川緑橋通第一生命ビル3階 
〒040-0062 北海道函館市大縄町4番10号 
〒170-0005 東京都豊島区南大塚3-32-1 大塚S&Sビル5階 
〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島5-7-11 第8新大阪ビル701
 
村上 勝彦
村上 勝彦
2011.03.09
■ この会社のスゴイところ

法改正により広告や価格の規制が撤廃され、法人化、複数事務所展開が可能となった行政書士、社会保険労務士業界。

業界のほとんどが様子見ムードの中、SATO GROUPは法改正されたその日に法人化させた業界の先駆け的存在である。

社労士法人単体で200名、グループ全体では600名もの職員をもつという、士業界では驚異的な数字を誇る。

その背景にある、ニーズをいち早く察知する佐藤氏の経営者としての感覚とそれをすぐに実行する行動力に迫る。
INTERVIEW
INTERVIEW
グループ全体で600名。日本最大級の士業法人に見る、中小企業成長の秘訣 ・後編 (SATO GROUP)
佐藤 良雄 氏
SATO GROUP 代表
SATO GROUP 代表 佐藤良雄 様 INTERVIEW
■ 自分達のあるべき姿を決め、共有する 
士業経営には大きく分けて「完全に自分たちの家族のビジネス」と、「オープンにして拡大していくビジネス」の2つの方向性がありいずれも正しい、と佐藤氏は語る。

「私は“もう少し規模を拡大したい”と後者を選択しました。趣向によると思いますが、どちらか明確に意思決定をした方が良いでしょう。

例えば事業規模を大きくしたいけれど、実際には大きくなるような行動や考え方をしていない。行動しない人たちや、できない理由を並べ立てる人たちは、元々“やりたくない”という意思決定をしているのです。自分の心に正直にやればいいと思いますし、悪いことではありません。

たまたま私は、もっと公共的に大きくしようと考えたので、経営をオープン化させました。例えば、経理内容や代表者のスケジュールを全ての職員に公開しました。代表者が今日、誰と会い、何をしているのかをきちんとオープンにする。「社長はいますか」「わかりません」「何時に帰ってくるかわかりますか?」「わかりません」……これではいけません。

私のスケジュールは毎朝朝一番に各セクションに配布され、職員は全て知っています。大企業でしたら、パソコンにすべての職員のスケジュールが入っているのは常識かもしれませんが、個人経営だからこそ、こういったことはきちんとやるべきです。

組織を大きくするため、制度設計の前にまずすべきことは、自分のあるべき姿を決めることです。それができなければ次のステップには進めないくらい、非常に重要なことだと思います。」

佐藤氏は開業当時から、事業計画の中にこれらの意思決定を示してきた。たとえば「世襲はしない、その代わり従業員の縁故者も入れない。人事はすべてフェアに外部募集でやる」ことを宣言した。今まで誰かの親戚や友人ということで入社した社員は一人もいない。

「これが必ずしも正しい選択ではないかもしれませんが、決めるということが重要です。私は『身内は採用しない』と決めましたが、『優秀な人がいれば身内から連れてくる』のでもいいのです。」
SATO GROUP 代表 佐藤良雄 様
SATO GROUP 代表 佐藤 良雄 氏
■ 企業の成長過程の“壁”を越えるために 
企業の成長過程には、組織の“壁”が存在する。SATOグループの成長過程で佐藤氏が突破した方策は何か。

「私は『1人の壁』『5人の壁』『10人の壁』『20人の壁』『30人の壁』『50人の壁』『100人の壁』といくつかの壁を設定し、突破するために戦略的に取り組んできました。

例えば最初の『1人の壁』を突破するためには、自分が3人分働かなければいけません。自分の分と最初に雇用する1人、そしてさらに次の一人分の投資資金に充てる必要があるからです。

よく、『自分が一生懸命稼いだ金を従業員に払って、自分の実収入はさっぱり増えない』と嘆く人達もいますが、2人分では駄目なのです。経営者たるもの一日4時間寝て20時間働くところからはじめないと、どんな事業も大きくなりません。

私は若い頃は1日4時間しか寝ないと決めました。生活の時間もありますが、それでも17、8時間働くことを自分に課しました。そうして最初の1人を雇用することができ、設備投資もできたということです。」

「5人の壁」を突破するためは、責任者を完全に育てきること、と佐藤氏は語る。

「最初の職員である鈴木さんは、内勤の事務作業を全部仕切ることができ、新しく入った職員に仕事を教え、育てることができます。私はその5人分稼がないといけないのですが、私は営業だけに専念し、内勤の業務に関しては、完全に鈴木さんが一人で掌握できます。

自分が営業して、現場は一人の責任者が4人の職員を使って、現場に物を納品したり、現場の工事を納めるなど、自分と業務責任を分けた人を1人創り上げられなければ、5人の壁は突破できません。その教育システムをきちんと作ることです。」

その上で、壁を越えた経営者の方と話をすることがとても大事だという。特に、自分の2、3歩先を行く経営者の話を聞く、現場に行く、現場で働いている人を見るということは効果的である。

「社員と共有化された経営計画が作れるようになることが、20人の壁の突破のポイントです。

また、途中から企業風土を変えるのは難しい。社長が、『仕事が取れたぞ!』と事務所に帰ってきたとき、『良かったですね、社長!』と言って皆が喜ぶ。あるいは、職員は一緒に喜ばず、『おい、その仕事誰がやるんだ?自分が負担するのは嫌だよ』と、お互い顔を見合わせる。どちらも企業の風土なのです。

最初から職員全員が組織を拡大し、お客様を増やして、たくさんのお客様のお役に立つことが善なのだという風土をつくる。そういったものも突破要因の一つです。そういった壁を全て丁寧に突破していくことが必要です。」

士業で最も多い壁は「5人の壁」といえる。おそらく全体の8~9割が5人以下で組織されている。最初の「1人の壁」は突破できたものの、全体の約8割は「5人の壁」は突破できていないということだ。

そうした中、伸びている士業経営者は爆発的に伸びている。これは経営者の発想力、スタンスによる部分が大きい。これと同じ状況にある業界は少なくない。
船井総研 村上 勝彦
船井総合研究所 村上 勝彦
■ 探すのは競争のない“新しいマーケット” 
2003年の社会保険労務士法改正によって法人化が認められたことを受け、佐藤氏は東京進出を果たす。東京での社会保険労務士は全くの後発であり、そこで戦わなければならない。

佐藤氏は、「いずれ勝ち残れる自信はあるけれど、元々差別化できないサービスなので、周囲と同じことをしていては膨大な時間がかかるだろう」と考えた。そこで、“新しいマーケット”はないかと考える。競争のない未開拓市場を探す「ブルーオーシャン戦略」だ。

佐藤氏は、考えれば新しいマーケットはある。そこにはあらたな経営資源が必要な場合もあるが、現代であれば大抵揃えられる。最初から難しいと思わないことが大切だという。

「東京へ事務所を出した際、マーケットは大企業だと思いました。というのは、大企業は社労士に頼まず、みな社内で行っているからです。

大企業の中で特にニーズのある仕事は、一号業務とよばれる、手続きの仕事です。入社・退社、扶養者の増減の際に健康保険や雇用保険といった保険に付帯して発生する仕事です。

これらは、人材派遣などでまかない、内部で処理しているというスキームが殆どです。そこで我々は、ここを外注させようというマーケティングを行い、そのために投資をしました。」

必要な投資なしにビジネスを大きくしようということは不可能であると佐藤氏は自らを振り返る。

「我々の場合は、まずお客さまに個人情報保護や内部統制といった、通常業務以外に必要なシステムを先に導入することにお金をかけました。

元々誰でもできる業務ではなく、システムを持っていないなどの理由で大企業が外注したくてもできない業務でしたので、非常にニーズが高かったのです。『SATOグループになら外注できる』ということで爆発的に顧客が増えました。

2003年頃、札幌の田舎から出てきた社会保険労務士事務所が日本でも有数の大企業やグローバル企業の労務管理を外注化させ、受注できるようになり、今では社労士事務所だけでも200名ほど職員がおります。社労士事務所としての規模は日本で一番大きいかもしれませんね。」

社会保険労務士事務所は、中小零細事務所より更に小さい組織形態というイメージが強い。そういった中でも視点を変え、きちんと投資を行い、しっかりとした経営をすれば、かなりの組織化は可能である。そのことを実践できたことが嬉しい、と佐藤氏は語る。
■ 今後の目標は「顧客のグローバル化への対応」 
「今後の士業界は、いずれの業界でもみられるように、強い企業が類似業業態を束ねてグループ化することにより多機能化していくという傾向は顕著です。

大手の税理士事務所が社労士業務を始めたり、給与計算業務を始めたり、コンサルティング業務を始めたりするといったところに顕在化されています。今までどおり個人で経営する方も多いと思いますが、一方では、非常に大きな組織がグループ化されていくという傾向は顕著です。

ましてや元々のターゲットである中小零細企業のマーケットは、企業の数が減っている状況にあるので、縮小しています。おそらく、既に個人事業所が皆経営を維持できるという環境にはなっていないでしょう。」

士業としては、マーケットとして、企業化されていく。つまり、経理基調のアウトソーシング会社が、事実上税理士事務所を支配下に置き、グループ化が進む。給与計算を手がける会社が社労士事務所をグループ化する。資本に支配されてはいけないが、仕事を受けることによって事実上支配されていくといった企業グループ化はもう進んでいる。

こういったものが大きく成長していく方向性が顕著である、と佐藤氏は指摘する。これらの状況を踏まえ、SATOグループは今後、行政書士と社労士の特化をベースに、海外をも視野に入れた拡大を目指す。

「顧客である日本企業は、特に中国を中心とした東アジアに進出しています。顧客の海外進出化は避けられないという時に、国際化、海外業務に対応できる事務所は殆どありません。これから先、顧客のグローバル化への対応は重要なマーケティングの視点になってくるだろうと考えています。」

現在は、中国へのサービスを提供できる組織との業務提携、ネットワークに取り組む。専門家でなければできないノウハウも多い。専門家ならではの強みを活かし、着実に拡大の道を進む構えだ。
SATO GROUP 代表 佐藤良雄 様と船井総研 村上勝彦
SATO GROUP 代表 佐藤 良雄 氏(左)と船井総合研究所 村上 勝彦(右)
■□ コンサルタント村上勝彦の視点 □■ 
士業界は今後ますます変わっていくことは想像に難くない。どのような姿に変わっていくかは、リーディング企業であるSATOグループの旗振りがますます重要になっていくであろう。

今後も同社にますます発展していただき、情報交換をしながら、経営者も働き手もお客様も、業界全体がハッピーになるように応援をしていきたい。
 

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