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病院/介護サービス





医療法人啓和会 野末整形外科歯科内科
(左)院長   野末 洋氏
(右)理事長  神山稔巳氏 


国家資格や医療保険に守られていた医師も国の財政悪化から経営について考える時期がきている。あわせて在宅医療へのシフト、地域でのケアを促す政府の方針に対し、先んじて地域包括ケアシステム(※)を具現化したモデルを紹介する。


JR川崎駅から徒歩30分圏内にある小田地区を中心に点在する啓和会グループの施設は25拠点(2014年12月時点)。中核となる野末整形外科は、1983年の開業当時、人口密集地にしては整形外科が少なく、バブル景気という追い風もあってピーク時には1日450名の来院があった。しかし、景気後退とともに医療保険の面においても患者の自己負担が増えたことも重なり来院数が減少しはじめる。1989年には歯科を併設するが、整形外科、歯科ともに高齢で自分の足で通えなくなるケースが増え、往診の際にも患者の高齢化を肌で感じるようになっていた。

ここで、デイケア(通所リハビリテーション)のニーズがあると察知し、介護保険開始の3年前の1997年にデイケアを開設する。「始めるまで脳血管障害の利用者が多いと思っていたが、ふたを開けると8割が認知症だった」と野末洋院長は当時について語る。「あの頃、認知症の利用者のためのデイサービスは普及していなかった。これが契機になった」。



グラフ)啓和会グループ 直近7年間の推移 (平成20年の医療保険収入を100として表示)。


(写真)「認知症対応型デイサービス東小田
」一軒家として使われていた建物を利用



認知症の切り札「小規模多機能型居宅介護施設」

2000年、介護保険が始まると訪問介護センターを開設。続けて院内でケアマネージャーの資格を5名が取得し、居宅介護支援センターを立ち上げる。デイケアは利用者が溢れるほど好調で、診療スペースと隣接していた待合が手狭になったこともあり、認知症の利用者のために2002年デイサービス(通所介護)の施設を開設する。デイサービスが普及しはじめると、通所からグループホーム、サービス付き高齢者住宅等の居住系のサービスにも領域を広げる。現在、啓和会が力を入れているのは認知症の利用者に適した「小規模多機能型居宅介護施設」である。これは地域密着型のサービスで、「デイサービス・ショートステイ・訪問介護」の3つの機能を兼ね備えた施設。「受けたいサービスを組み合わせて利用でき、送迎時間も自由なため、利用者とその家族からも喜ばれています。認知症の方が可能な限り、住み慣れた自宅や地域で生活することをサポートしていきたい」と神山稔巳理事長。2014年には認知症対応型のデイサービスも開設している。

(写真)小規模多機能型居宅介護施設・・・通いのほか、事前の利用登録があれば、空き次第で急な宿泊も可能。
24時間のサポート体制があるので、家族も安心して親を預けることができる。


法人内にケアマネージャー

介護施設を始めても集客に苦戦するケースがあるが、啓和会では母体が医療機関で往診に力を入れていたことや、法人内に6カ所の居宅介護支援センターを設け、40名余りのケアマネージャーが在籍しているため、自施設に利用者を紹介できる体制ができている。5年のキャリアを持つ人にはケアマネージャーの試験を受けることを推奨している。対象者には講習会や模擬試験を行い、資格取得のサポートをしている。事業を継続させるには、経営面でも充足させなければいけない。内科が加わり、在宅医療が主力の在宅支援診療所の登録をしてから会計を振り返ると、介護保険収入がグループの80%を占める主力収益となっていた。今後は、川崎以外の地にも広めることも視野にトータルケアで街づくりに寄与していくことを目標としている。団塊の世代が75歳を迎える2025年に向け、厚生労働省は地域包括ケアシステムを推進しているが、それよりも前に開業の地において、一法人が自前で地域包括ケアシステムを確立した好例といえる。



(写真左) 理学療法士による運動療法中心のリハビリに特化。
2014年8月に川崎駅前に短時間デイサービス「健康クラブパレール川崎」をオープンさせた
(写真右)天井から吊るされた「レッドコード」を設置。痛みや緊張を伴わず、効果的な運動が行える


担当コンサルタントより

北里淳
北里 淳


医療業界は、参入障壁が高く規制の中にある業界です。そういう意味では、一般企業に比べて業界のライフサイクルの変化が緩やかです。そのような中で、『医療法人 啓和会』は、将来の医療業界の変化を見据えて今から10年以上前から医療と介護を融合し、地域における確固たる地位を築く方向に向かいました。ひとえに経営者の先見性の高さに驚くばかりです。

【プロフィール】
入社以来、医療・介護業界のコンサルティングに従事している。大規模病院の戦略系からクリニックの現場型のコンサルティングまでこなす。社会的共通資本である医療・介護における社会性と収益性をおさえたコンサルティングに定評がある。

 


  • ■医療法人啓和会 野末整形外科歯科内科 
  • ■所在地:神奈川県川崎市川崎区小田5-1-3
  • ■開設:昭和58年(整形外科診療所として開設)
  • ■代表者:理事長 神山稔巳/院長 野末洋
  • 業務内容:整形外科、歯科、内科、もの忘れ外来、居宅療養管理(内科、整形外科、歯科)、訪問看護事業、訪問リハビリテーション、居宅介護支援事業、訪問介護事業、通所リハビリテーション事業、通所介護事業、認知症対応型通所介護事業、療養通所介護事業、認知症対応型共同生活介護事業、小規模多機能型居宅介護事業、サービス付高齢者向け住宅事業、地域包括支援センター受託、川崎市一次予防・二次予防事業受託、在宅療養総合支援事業、介護員養成研修事業
  • ■URL:http://www.keiwa-kai.or.jp/iryou/index.html

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