明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

無料経営相談 0120-958-270 (平日 9:00-18:00)

文字サイズ
標準
拡大

対談集

プラス会員様限定

IT・業務改善


アイエスエフネットグループ 代表 渡邉 幸義氏

対談者:船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント 長島 淳治

【無料公開】

株式会社アイエスエフネットの始まり

長島:まずは、株式会社アイエスエフネットの基本的な会社情報をお願いします。

渡邉社長の熱い想いは常に
社員とも共有されている


渡邉社長:当社は今から約15年前、2000年1月に創設したITのサービス提供会社です。ITのサービス提供会社は大きくインフラ系とアプリケーション系に分かれますが、当社はインフラの方で、いわゆるネットワークという分野です。そのサービスエンジニアの育成、派遣、受託等の全般のサービスをやっていこうということで設立しました。浅草橋で4名から始めた会社でしたが、15年ほど経った今、約3,000名(2014年2月現在)ほどの規模になりました。

当時のIT業界は、経験者以外は雇わないという会社が多い中、私は未経験者を、履歴書はこだわらずに、ニートもフリーターも構わずどんどん雇って教育していきました。私は以前、外資系のコンピュータ会社にいたのですが、それを聞いた同僚は、ほぼ失敗するだろうと(笑)。しかし実際は、ほとんど経験も知識もない人を採用して、5年で1,000名まで増えていきました。実は私が未経験者を採用したのには根拠があります。

それは1991年、創業する9年前に立てた、ひとつの仮説です。近いうちに電話やテレビなどの通信はインターネットに置き換わるはずだと。そうなった時に、通信の裏方のエンジニアを全部、日夜サポートするモデルが当たると。この仮説は当たり、携帯電話やテレビはすべて双方向になり、アナログからデジタルに変わりました。経営というのは仮説が大事ですね。この仮説が当たると会社は大きくなると思います。

2000年当時、ネットワークエンジニアはほとんど存在しませんでした。ですから一から教育しないといけない。しかもネットワークは人と人とのコミュニケーションが必要になってきます。開発エンジニアとの決定的な違いはここです。私は人を変えるのは10年かかると思っていますから、無知識や、経験がどうかよりも、コミュニケーション能力を重視しました。

業務スキルより大事なことは、言葉を理解し、役務を提供できるかどうか。その上に、資格も必要であると。ネットワーク系の資格、例えばシスコのCCNA、マイクロソフトのMCPなら、だいたい3ヵ月で取れます。しかし人間の性格は10年かかる(笑)。こうして基本、すべて資格を取ってエンジニアになっていき、しかも性格がいいわけですから(笑)どんどん大きくなっていったという、そんなモデルですね。これを東京だけでなく全世界で展開しているのが当社のビジネスモデルです。

長島:なるほど。日本の拠点の数はどのくらいですか?

渡邉社長:グループ会社も合わせると405拠点ぐらい(店舗除く)になります。世界では海外に8ヵ国です。


急成長ビジネスの仮説思考

長島:先ほど、まわりが反対する事業は成功するというお話がありましたが。いま※1「20大雇用」というところまで含めて、反対されるということがあったのではないかと思うのですが。それでも、これはうまくいくと。仮説が経営の重要なポイントで、それがいけると思った根拠は何でしょう。


対談収録の様子

渡邉社長:根拠はすごく簡単です。仮説を立ててうまくいったら成功するという理論の最初に、抜けていることがあるんです。それは、「社会の要請があって」ということですね。ITでいえば、無知識未経験の人をエンジニアにすることは、ニート・フリーターに知識をつけて雇用を作っていくということですからニーズがありますよね。あとはどうエンジニアにするかという、そこの間のブラックボックスをビジネス化したらいけるはずだと。
今、日本では少子高齢化が進んでいる。農業は就農数が減っている。障がい者雇用が減って、生活保護受給者が増えている。私のモデルはその問題を解決するモデルです。これから日本はどうなっていくか、課題は予測できても、解決できていない問題は多いですよね。しかもビジネスは短期間で収益を上げていかないといけないので、なかなか踏み出せない。でも私はそれをあまり気にせずやってきたということです。

長島:すごいなと思うのは、社長の考えた仮説をもとに会社を急成長させることができたというところです。成長というのは、社会からの要請が正しいと考えたときに、例えば10年でなるとか15年でなるとか、予測は立っていたのですか?

渡邉社長:創業時は6万人にしようという計画がありました。その後に上方修正して、現状は2025年までに10万人の企業にしたいと思っています。会社を大きくしたいというわけではなく、10万人の就労困難な人の雇用を作りたいということです。

長島:社会の要請があり、仮設どおりに行けば、世の中も喜んでくれるというイメージですね。渡邉社長には、お会いするたびに次々と新しいことが始まっていますよね。実行スピードがとても速いです。

渡邉社長:何か案件が来たら、私はyesかハイしか言いません。先輩だったらYes,Sir!ですね(笑)。社会の要請にのっとっていれば、とにかくやると。例えば一番わかりやすいのが、2013年4月に川崎市と結んだ、生活保護受給者100名の雇用協定です(※2014年4月に雇用達成)。これは社会的課題だと思ったのと、私のやってきたノウハウで雇えると思ったんです。まず本人としっかり面談をして、その内情をよく知って、まず雇うことを決めました。仕事はありません。かなりの利益を逸してしまうと。でも私はまず雇用して、その後に仕事を見つけます。だから創業当時は赤字なのに雇っていました。今はそこが違います(笑)


1人でも多くの方々に「働くことの喜び」や「生き甲斐の発見」してもらいたいと全従業員がこの課題に対して真摯に取り組んでいる「20大雇用」(ユニバーサル就労)


就労困難者の雇用

長島:基本的にその考え方は変わらず、今は黒字の段階なのでやっていけると。一般的には、足りない人を補うような会社が多いと思いますが、まったく逆ですね。なぜこうしようと?

渡邉社長:まず私は大義を背負いたいのです。だから生活保護需給者の人と面談をするので すが、ものすごくつらい人生を送ってきている。セイフティーネットとはいえ、働くことがやっぱり人間の尊厳なんです。私は基本的にできないと思ったことは やらないです。でも6割くらいできそうかな?と思ったらやります。雇ってから仕事を探すんです。作れない仕事なんてないですよ。



清掃などのボランティア活動の様子

長島:渡邉社長の著書も読ませていただいたり、講演も聞かせていただく中で、どうやって仕事を見つけてくるのかが不思議で。

渡邉社長:結果的に、会社の中で人の強みに合った仕事を見つけられるような仕組みになりました。例えば、私どもはITを中心にやっていましたが、それは難しい仕事から簡単な仕事ま課題であります。なぜこのモデルが成功したかというと、最初のエントリーで入ってきた人間は給料を払いながら教育するわけですが、ここでみんな挫折するんです。このブラックボックスを私は解決します。

その当時、エンジニアはきつい仕事だからとやりたがらなかった。でもITの仕事は高い。パソコンの設定やバージョンアップ、携帯の検証作業などの仕事は、当時、時給2,000円くらいだったんですね。それを取りにいきました。それについても仮説を立てました。そして時給2,000円で彼らに給料25万円を払った。160時間ですから32万円、経費と社会保険を払うとトントン、同じくらい。そして空いている土日と夜に研修して資格を取っていってもらった。このITに向いている人っていうのは、もともと我々でいうニート・フリーター、そういう人が中心でしたね。あるいは知的障がい者であったり、シニアの方ですね。シニアで女性の方だとITは難しい。ですからレストランなど新しい事業をどんどん作っていったのです。




ドリームポイント制度

渡邉社長:あとは、社内の管理部門の仕事を切り出して、ドリームポイント制度として作っていますね。これは仕事を属人的しているかどうか、セキュリティーレベルが高いか、重要度が高いか、緊急度が高いかで、全部、カテゴライズしています。

例えば子どもができて、今までエンジニアだった人が続けられないと。もしくは子どもが病気がちだという人は、属人性が低くて、そしてセキュリティーレベルが低いものであれば、在宅で仕事をしてもらうというようにしました。そうすると、みんなスペシャリストになってきたと。これをBPO(Business Process Outsourcing/ビジネスプロセスアウトソーシング)で、外に取りにいったんですね。

長島:なるほど。社内にある業務をカテゴライズして、事務的な作業、セキュリティーレベルの重要度がそれほど高くない仕事に関しては、部分分けして出すやり方だと。これは著書の中にもありましたが、反対が多かったと。どう乗り越えていかれたのですか

渡邉社長:一番わかりやすいのは女性社員の例でしょうか。10人くらいが産休や育休から戻ってくるタイミングが重なり、なかなか仕事が作れない時があったんですよ。私は良い方法を思いついた!と思ったのに、女性社員はすごく嫌な顔をしていました。理由は後から聞いて、なるほどな、と思いました。例えば経理部門の女性は、自分のペースを決めて仕事をしているんです。そして人は変化を嫌う。神経を集中した仕事が続いたら、データ入力など簡単な仕事をしたり、お昼を食べた後は、ちょっと動く仕事をやってと。

特に女性は仕事のリズムを絶対崩してほしくない。そして何か仕事を出してというと、ものすごく取られた気持ちになるんですね。ですから、経理で今までずっと財務会計だけやっていたのに、急に管理会計をやれといわれると。経理では財務会計の中身くらいしか仕事を切り出せませんから。だから仕事を出しなさいというと、今まで割と軽めにこなしていた仕事を全部手放すという最悪な状況になるわけですよね。実際、このドリームポイントを導入した直後に2人辞めました。でも私は心を鬼にしてやり続けました。

もしこれをされる経営者さんがいたら、オーナーでゼロで始めてこれだけ苦労するわけですから、オーナーでない経営者は、社員が3割くらい辞めるつもりでやらないと厳しいと思います。ダイバーシティとかいう話になると、一人ひとりによって仕事を変えるわけですから、仕事のやり方を再構築しないといけない。その時の社員の反対はすごくあると思います。

どうやってこれを乗り切ってきたかというと、ドリームポイントの会議で、仕事を出した人を徹底的にほめまくりました。そうすると産休や育休から戻ってきた女性社員の仕事が全部作れるんですね。就労時間は月に160時間ですから、160時間を下回る勤務の仕方や、いきなり帰る人は白い目で見られる事があります。女性はそれが嫌で辞めてしまう場合もあるわけですが、当社のドリームポイント制度は全部単価が設定されているんですよ。価格設定は社長である私が承認したものなので、社員がその単価の仕事をやってアウトプットした給料は、全部自分がやったことになります。当社が女性のアワードをたくさんいただいている理由は、まずこの制度です。女性が辞めない。始めて4、5年頃に変化が出ました。本当に浸透したのは7年。7年経ったときに、その時に新人だった女性が、子どもが生まれて仕事を切り出される側に回るわけです。それは大きい。

長島:それで期間が必要だと。

渡邉社長:そうですね。育児休暇明けの人も含めて、それが全体の2割くらいになりました。2割となると、残りの8割の人間に影響を与えるということがわかりました。そして人が辞めないから増えていくということですね。

長島:ちなみにこのドリームポイントの名前は社長が付けられたのですか?

渡邉社長:そうですね。私の趣味です(笑)当社ではよく名称に「ドリーム」を付けるんですよ。「ドリーム」を付けて、障がい者のことは※2「フューチャードリームメンバー」と呼びますし。



FDM(Future Dream Member)から社長に贈られた
プレゼント

長島:なるほど。最初の方にお話がありましたが、採用については、とにかく面談をして、その人のいいところを見ておくということですが。人間性や価値観、そういうところを重視することは昔からですか?

渡邉社長:そ うですね。もともと男女年齢国籍にとらわれずに、グローバルカンパニーにしようとして会社を立ち上げました。その時によく人に言われたのが、グローバルを やるならクロスカルチャートレーニングが必要だよと。私はそうは思わなくて、本当のグローバルは男女年齢国籍に関係ない一定の軸での考え方に基づいた経営だという定義をして、仮説を立てました。ですから例えば20大雇用は、どの国に行っても賞賛されるんですよ。当社は人を雇う経営なので、やっぱりそこを評価されます。海外からも応募があり、先日は20人の外国人をスカイプで雇用しました。全世界から申し込みがありますよ。新卒もそうです。では去年と今年で採用は変わったかというと、まったく変わらず、むしろ増えています。なぜかというと軸が変わっていないから。結局そこに人が来るんですよ。国籍とか人種とか男女とか、変わらない軸なら共感する人は増えるんですね。私はできるだけどの人間でも共感できる軸でやっていこうと関係を築いてきて、大勢の人に共感してもらった結果、当社に入ってきてくれているということです。


「すべての人の“働きたい”をかなえることが事業の根源」【後編】につづく

FUNAIメンバーズとは?


※1 : 20大雇用(ユニバーサル就労) さまざまな事情で就労が難しい方々に対して、安心して働ける環境を創造し提供する取り組み。
(http://www.isfnet.co.jp/csr/society/) 
  
※2 : フューチャードリームメンバー(Future Dream Member : FDM) アイエスエフネットグループでは障がいのある方を「未来の夢を実現するメンバー」


(渡邉幸義氏(わたなべゆきよし)アイエスエフネットグループ 渡邉幸義氏 PROFILE
渡邉 幸義(ワタナベ・ユキヨシ)氏
アイエスエフネットグループ  代表
設立:2000年
資本金:2億850千円
本社所在地:東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8F
代表者:渡邉 幸義
従業員数:2,922名(2014年2月現在、グループ全体)
       うち1,000名が障がい者や元就労困難者
事業内容:コンピューターシステムの運用、管理、保守やエンジニアの育成・派遣。
       ㈱アイエスエフネットを中心として、20大雇用(ユニバーサル就労)を掲げ、
        障がい者をはじめとした就労困難な方々に雇用の場を提供。
企業HP:http://www.isfnet.co.jp/                                   
長島淳治(ながしまじゅんじ) 船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント 長島 淳治(ナガシマ・ジュンジ)
船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント

2012年よりコンサルティング領域をITからOA市場に拡大し、チームを率いる。主なコンサルティング領域は営業力強化。その為のマーケティング支援。個人営業からチーム営業への転換を目的に、情報共有・営業の仕組み化を実施。新規飛込み営業の仕組み化やチームで実施する展示会の企画・運営支援に従事している。


OA機器販売会社経営研究会



メルマガタイトル
全てのメルマガを見る>>