モデル企業ルポ
(グレートカンパニーレポート)

生産財メーカー/EC・通販

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株式会社 アースダンボール 株式会社 アースダンボール
設立:1953年3月(2001年4月1日、有限会社奥田製作所から「株式会社 アースダンボール」に社名変更)
資本金: 2,000万円
所在地:〒362-0811 埼玉県北足立郡伊奈町西小針7丁目17番地
TEL:048-728-9202 
FAX:048-728-9130
従業員: 28名
工場:伊奈本社工場敷地 2000平米
        同工場面積 1230平米
井上 雅史
井上 雅史
2012.02.01
■ この会社のスゴイところ

多くの業界で時間が経つほど業績が苦しくなる「ジリ貧経営」を強いられている。

もし時間が経つほど他社との差別化が図れ、競争力がついていく「良循環(善循環)」の戦略を描ければ理想的であるといえるだろう。

独自の原価計算システムとインターネットという武器を使い、「良循環」を実現している企業がアースダンボール社である。
INTERVIEW
INTERVIEW
ダンボール業界のネット最強企業。独自開発の原価計算システムから生まれる良循環経営の仕組み(株式会社 アースダンボール)
奥田 敏光 氏
株式会社 アースダンボール 代表取締役社長
株式会社 アースダンボール 代表取締役社長 奥田 敏光 様 INTERVIEW
■ コスト計算ソフトを趣味で自作 
祖父と父が始めたダンボールの加工会社(俗に箱屋と呼ばれ、原材料の生産はせずに印刷や加工を行う会社)に大学卒業後に入社しました。理系(機械工学学部)出身ということもあり入社後に趣味半分、仕事半分で、ダンボール加工の適正価格を計算するシミュレーションソフトを自作しました。

ダンボール加工業務はロット数や箱の形状などにより加工コストが変わり適正価格が変化します。当社も経験や勘を頼りに平米当たりの材料費に、ロット数に応じてだいたいの加工賃を、単純に上乗せする方式で行っていました。

これを、もっと正確にコストを把握し、利益が出る適正な価格を把握したいと思いシミュレーションソフトを開発したのです。

私が開発した当初のプログラムは、材料費は寸法を入れて展開図から紙の取り都合を求め、面積を計算することで導き出し、加工賃は加工前の準備時間であるセットタイムと、機械を占有する時間などを計算式に組み込むことにより導き出すというものでした。

これを後にプログラミングが強い方と組み、段ボール業界向けのソフトウエアとしてシャープの電子手帳用に売り出し300セットほど売れました。当時は、このソフトが競争優位につながるといった感覚はなく、自社で使えるし、業界の役に立ち、自社の売上に多少なりとも貢献できれば嬉しいという気持ちで開発していました。

その後、このプログラムを、注文ごとに在庫置き場の占有面積や、占有時間など様々なコスト要因を組み込んだ個別原価計算ができるように改良していきました。この個別原価計算プログラムのおかけで、経験と勘で決めていた価格を、正確かつ適正なコストを把握した上で決定できるようになりました。

結果、見積もりスピードが向上し、100個注文なら70円、130個注文なら65円といったように数量ごとに細かく正確な価格決定もできるようになりました。通常は見積もりを依頼すると2日、3日はかかることもあるのですが、ほとんどの注文に対して当社では10秒で、少なくとも原価についての計算はできます。

もちろん特殊な注文のケースなどの対応や、コストを踏まえての値段決めの交渉などは経験が必要ですが、その際にもコストの計算ができているので、スピーディーに、かつ必ず利益が残せる価格を設定することが可能です。
株式会社 アースダンボール 工場内
株式会社アースダンボールの工場内の様子。個別原価計算プログラムにより、見積もりスピードが向上し、スピーディーに、かつ必ず利益が残せる価格設定が可能に
■ WEBへの取組みが飛翔のきっかけに 
WEBへの取組みは、1996年頃という、かなり初期の段階からこちらも趣味で行っていました。最初は注文自体が珍しく、最初のお客様には、私が商品を届けに行き、話を聞きに行ったほどでした。

その後、2000年頃にインターネットが急速に普及するのに合わせるように、ネットでの売上が、かなり増えていきました。当社でも、それに応じてWEBサイトや、基幹システムの改修に力を入れていきました。

生産現場はあまり変わらなかったのですが、事務や営業は大きく変わりました。それまで100社ほどの決まった法人向けのビジネスがメインだった会社が、個人を含め年間何千社(人)を相手にする通販会社へと転換するようなものでした。その過程でSEを雇いシステムを整えました。

また同時に昨日までパソコンを触ったことがないようなスタッフにパソコン業務を担ってもらいましたが、抵抗は特にはありませんでした。小口の注文が急に増えて、それまでの業務体制では回らなくなってきていたのはあきらかだったので、みんな必死に覚えて使えるようになってくれました。
■ 原価計算システムがWEBでの成功を加速させた 
WEBへの進出は、個別原価計算のシステムがあるおかげで、より良い方向に動いたと思います。多品種小ロットの個人事業主や個人からの注文にも応えられるようになっていたからです。

10個、20個といった小ロットごとの注文は機械の切り替えが必要となり、機械の稼働という意味でロス時間が多く、見積もりを行っても1個当たりの加工賃が高くなり条件が合わないことが多いのです。そのため小ロットの場合、ダンボール会社には見積もり自体を敬遠されることも多いと言います。

当社では、そうした小ロットの注文でもその場で、適正価格を提案できます。小口でもお客様の要望にはなるべく応えるように心がけています。原価計算システムとWEBは連動させているので、ネット上にセミオーダー品を自動で見積もりもとれるような機能もあります。

ネットオークションや、ネットでの通信販売市場の拡大で、個人やそれに近い会社からの商品梱包用のダンボール需要が増えてきたこともありBtoC需要が広がりました。

現在は、ネット販売が本格化しだした10年ほど前と比べれば売上は約2倍になり、WEB経由で直接注文を受注する分の売上が約5割に達しています。
株式会社 アースダンボール 商品
株式会社アースダンボールのオリジナル商品。ブロック(中央)やリモコン置き(右)だけでなく、太陽の力でお湯を沸かせる調理器具(左)も開発
■ 小口需要への対応を商品力強化につなげる 
オリジナル品やセミオーダー品の注文は、ダンボール加工の際に必要なオリジナルの型を作っていただくこともあります。この型は通常2年間くらいが保管期間でその後、持ち主にお返します。しかし、汎用性がある抜き型についてはWEB上に公開する代わりに10年間保管し、壊れたり、さびたりした場合には保証をつけるようにしました。

そうすることで型ができる度に、当社の商品のラインアップが増えています。現在は1000近い商品をネット上で展開していますがこれも型が再利用できることで増えていった結果です。

この商品数が多いことが当社の商品力向上につながっています。ネット上の商売では、商品を一番揃え、商品力で勝つことが必要だと船井総研でも言われているようですが、これができていることが当社の強みになっています。

原価計算システムを使って対応できる、主にインターネット経由で全国から来る多品種小ロット多品種の注文やセミオーダー品への取組みへの対応。そしてセミオーダーで作った型を商品として再度ネット上で利用できる仕組み。こうした良循環を回すことができています。
株式会社 アースダンボール
(左)保管しているオリジナルの型を寝かせているのではなく競争優位につなげている
(右)2005年 SOHOホームページ大賞2005「大賞」、2006年 IT経営応援隊IT経営百選「最優秀企業」、2008年 中小企業IT経営力大賞「優秀賞」など数多くの賞を受賞している
■ お客様視点を意識したWEBサイト 
現在のWEBサイトは見積もりが自動で得られるだけでなく、納期別、用途別ですぐに商品が検索できるデザインになっています。新しく来られたお客様のニーズに即した分類のサイトになっています。

用途別で言えば、例えば、ギフト用のダンボールでも多種多様な大きさや形状を揃えています。フルーツを梱包できるものもあります。他にもポスターがぴったり入るサイズのダンボール、引越しなどでハンガーが掛けられるダンボール、ピザを宅配できるダンボールなどを用意しており、お客様の細やかな要望に応えています。

またサイトには『お客様へのメッセージ』というコーナーがあるのですが、ここではどうすれば安く買えるのかについて、ユーモアを交えて書いています。

私はアンケートへの記入をお願いする際にも、どうしたらお客様に気持ちよく答えていただけるかを考えるようにしています。その際に、ちょっとした笑いの要素があれば、少しは気持ち良く解答していただけるのではないでしょうか。

WEB上での社員紹介なども私が書いているのですが、同じ理由から、ちょっとでも楽しく面白いと思っていただけるように作成しています。

今後としては、もっと何のために存在している会社なのか、何のために働いているのかといったコアバリューを全社員で共有しているような会社を目指していきます。

自分達が成長することによって、お客様により喜んでいただける会社になっていく。全社員がそうした認識を持ち、それに向かって進んでいける、良い会社にしていきたいと思います。
株式会社 アースダンボール WEBサイト
株式会社アースダンボールのWEBサイト。見積もりが自動で得られるほか、納期別、用途別ですぐに商品が検索できる
 

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