明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

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対談集

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菓子



横山:人の採用についてお伺いします。
岐阜県恵那市にありますが、何か工夫されていることがあればお願いします。

鎌田社長:田舎が不利なのは、人を募集するにはハローワークしかないことです。だからみんな都会に出ていきます。そのため募集のやり方をNPOの人たちと話して変えようとしているところです。これからは田舎にいていい仕組みを作らないとダメだと思うんですよね。それをどうやって実現するか、具体的に考えているところです。
狙っているのは、やっぱり基本的な概念とか、会社のプラットフォームみたいなのをきちんと伝えてあげること。田舎に住んではみたけれど、仕事がどうもあまりおもしろくない、そんなのダメでしょう。

横山:なるほど。

鎌田社長:先日も新宿の駅ビル施設の方が来たんです。田舎と都会を、それも若い女性が結ぶようなことをしたいと言っていて、NPOの人たちが2日間一緒に観光して、えらい感動して帰ってくれたんです。例えば、これを田舎のNPOが旅行代理店やってあげれば、みんな満足できるんじゃないかなって。人との関係もつくれるし。つなぐ人とつなぐ場を得れば、田舎でもいけるんじゃないかと思うんです。ドラえもんで、のび太やジャイアンが集まる土管公園みたいな場所、ああいう場所があれば人は集まってくるんですよね。
というのは先日、『岐阜ナイトin Tokyo』というのを東京の神田でやったんですよ。100人以上が集まったらしいです。何もしていなくても、岐阜ナイトやるぞ!というだけで岐阜好きの人や出身者が集まってくるわけですよね。NPOの人たちが東京に行って、こういう活動をしていると話しながら、おそらく飲んだだけだと思う(笑)でも集まるんだよね。

横山:ちょっとしたコミュニティーというか。

鎌田社長:そう。コンセプトがしっかりしていれば人は集まる。それは田舎でも同じ。
この間、大学生のインターンを募集したら10人くらい来たんです。彼らは何かを求めて来ていて、僕らは栗拾いをしてほしかった。だからそこの交換をしないか?と持ちかけた、まさにそれなんですよ。
よく、田舎を都会にするって表現しますけど、都会の人がうらやむような何かを価値として見つけていければいいですね。その価値をつくることの方が、ビルをたくさん建てるよりも意味があることのような気がしますね。

横山:なるほど。

鎌田社長:だから僕はそういう考え方です。組合だとか横のつながりではなくて、栗を食べるのが好きな人、作るのが好きな人、加工するのが好きな人、栗にまつわる人たちが横につながっていて、それぞれが一緒になればいい。でもその先にはお客様がいてタテのつながりもある。タテと横がクロスして、それが本当の意味で固まればいいと思います。


農家が自信を取り戻す高品質の栗が地域の自慢をつくる

業態の再定義

横山:鎌田社長は折に触れて、自分たちは何屋かということを再定義するのが大事だとおっしゃいます。今の恵那川上屋は何屋になるでしょうか?

鎌田社長:サプライチェーンを効率化して農家に還元しますよね。その仕組み、バリューチェーンを活かしていく、そういう会社だと思います。だから菓子製造業ではないですね。
今、6次産業化って言われているでしょう?そのためには、その素材はだれが求めていて、何に喜ばれるのか、というのがわかっていないとダメだと思う。何屋かっていうのは、実は組み合わせだけで変わるんですよね。ITって言葉も今は当たり前ですけど、昔はなかった。だから6次産業化の次は8次産業化かもしれないし、12次産業化まで行く人もいるかもしれない。これからはそうなるだろうと思います。福祉とお菓子をつなげるとかね。
連携と融合が大事だと言っているのは、これからはたぶん、そういった隙間を掛け合わせていくような人が出てくると思います。僕らは原点から何も変わっていないです。

横山:世代が変わっても、そこは変わらないと。

鎌田社長:いいものしか出さないということです。今の超特選恵那栗部会のメンバーたちとの共通の理念は「美しく生きる」。それを言い続けます。だから全部の情報と戦略をみんなで共有しますよ。本当は発表しちゃいけないかもしれないけど(笑)それでまた夢を持てれば、「あっそうだ、俺、このためにやってたんだ」って思えますよね。これができなければ6次化なんてやっても無駄だと思うんですよ。

それと今、関東のお客様が増えたなという実感があったこともあって、一度は止めた百貨店への出店を始めています。その際に、過去、一日5万円も売れなかった東京の地下商街のところにもう一度お願いに行ったんです。そうしたら春の催事では40万円くらい売れました。秋の催事の時はみんな総動員で行くぞ!って(笑)一日100万円くらい売れましたね。その時は涙が止まらなかったです。地域の自慢って、そういうことですよね。自信があるところ、そこをこつこつやるしかない。売上って本当にこつこつしか上がらないです。

横山:なるほど。おっしゃるとおりです。

鎌田社長:あと変えるとすれば、深くする。例えば店舗をセレクトショップ化するとか、今の時流に合ったものにしなきゃいけないなとは感じています。コミュニティーができるような空間を広げるとか。そういったところが変化すれば、もしかするとお客様の感じ方も違ってくるかもしれませんし。

未来にのこすもの

横山:では最後に。先ほどおっしゃっていた、未来の、50年先の自分、そして恵那川上屋についてお聞かせください。

鎌田社長:やはり、育てていく、ということです。資源が蓄えられる場所という意味では、健全な赤字部門に投資することも重要です。
例えば、種子島では2、3人しか黒糖を作る人がいないそうですが、うちには7人います。それは文化を伝承できます。だから栗きんとんもそうですね。資源さえ入れば最初は赤字でもいいんですよ。その資源を1000年先に、ないかもしれないけど1000年続けようぜ!って言ったときに、自分に残された仕事、与えられた仕事は何かなと思ったら、やっぱり原料の確保です。そこだけなんとかしてあげれば続く可能性ができますし、その可能性、あるかな?ないかな?って考えた時に、ないなら自分でやるしかない。だから僕のこの先の仕事は何かって言ったら、お菓子を売っていくことでもなんでもなくて、原料になるものをうまく将来のために作り上げておくことなんです。
いいものを作り続けますし、だから日本一高い栗になりますよ(笑)そのためにどうするかってことしか、僕は考えていないです。

横山:そこは変わらずやり続けると。
本日は貴重なお話をありがとうございました。


一つひとつ手作りの栗きんとん

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鎌田真悟氏 鎌田 真悟(かまだ・しんご)氏
株式会社 恵那川上屋 代表取締役

本社所在地:岐阜県恵那市大井町2632-105
設立:1964年
資本金:8,000万円
従業員数:250名(2016年4月現在)
事業内容:和洋菓子製造販売
http://www.enakawakamiya.co.jp/

※ 企業プロフィールは、受賞当時のものです。
横山 玟洙 横山 玟洙(よこやま・ふみあき)
株式会社 船井総合研究所

2008年船井総合研究所入社船井総研入社後、食品メーカー・小売店のコンサルティングに従事。 船井流の食品小売のノウハウを活かし、小売店の活性化はもとより、メーカー・卸の直販事業強化や6次産業化を専門にコンサルティングを行っている。
日本食糧新聞社『月刊 新製品トレンド』にて「話題の商品開発プロジェクト」執筆中。
業績アップに前向きな菓子店経営者必見の「スイーツビジネス研究会」を主宰。