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対談集

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IT・業務改善


アイエスエフネットグループ 代表 渡邉 幸義氏

対談者:船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント 長島 淳治


大義重視型経営へ

長島:渡邉社長は、もともと外資系企業に勤められていて、その後、2000年に株式会社アイエスエフネットを創業されました。外資系勤務の頃は利益重視、成績重視の世界観で戦ってこられたと思うのですが、創業のタイミングで、ミッション型や大義重視型経営のほうに心がぐっと動いたのでしょうか。

渡邉社長:本来、組織は家族であるべきだと思います。人間が組織に求めるべき姿というのは家族だと思うのです。家族というのは一緒にいて、病気になったら助けたり、親だったら寝ないでフォローしたりするということ。ところが会社組織になったとたん、今まで一緒にやってきた仲間を、病気になったら切るという考え方。こんなことはそれこそ病気になってまう。私はそれらをおかしいと思っていました。そういうベースがない中での戦略、戦術は、一時的には経営に効くかもしれないが、長期では効かない。私はただ単に無知識未経験の人を採用したわけではないのです。人間性を重視しました。これは数値で説明できます。人の性格を変えるには10年は必要だけれど、教育して資格を取るのには約3ヵ月で済むという絶対的な優位性です。3ヵ月で人財は育つんです。こういった部分は外資系で勉強してきました。当然、会社なので一人あたりの売上や利益は考えていかなきゃいけない。その時に頭をよぎるのが「理と利のバランス」。理性の理と利益の利ですよね。利益だけ考えると、限界で切らなきゃいけない。でもやっぱりそれはダメなのだと思うわけです。特に強く考えるようになったのは2012年くらいでした。

長島:もともとITの、どちらかというとネットワークエンジニアというところから事業をスタートされて、今は「匠カフェ」など飲食の領域もされています。ITという枠組みにとらわれずに、どんどん事業を展開されているのも、そのあたりから変わってきたのでしょうか。

渡邉社長:そうですね。まず、保護者親との対話を徹底的にしています。親のほうが深刻なのです。ですから親との対話を徹底的にすると、より信念が固まりますね。そういう人たちと共感、共鳴できるようになったということもありますね。震災以降、さらにそういった思いが強くなりました。

福島や青山などにある「匠カフェ」中核事業であるITという業種にとらわれず、飲食の事業も展開している。


厳しさの意味・叱る

長島:話は変わりますが。渡邉社長の著書の中に、社長は明るく楽しいイメージだけれど、社員のみなさんには厳しく接する時もあるというお話がありました。他の中小企業の社長さんに聞くと、厳しく接することをちょっと躊躇してしまうと。また厳しくしすぎて社員が辞めてしまい、社員が定着しないという社長さんもいて、社員との関わり方、接し方に悩まれることが多いのではないかと思います。渡邉社長の中で、意識されていることなどありますか?


船井総合研究所 長島 淳治

渡邉社長:私が叱るのは、こういう状況ですね。自分が目を話した隙に、赤ちゃんがひとりで歩いてしまい線路に落ちそうになったとき、叫びませんか?叫ばない人はいないと思います。そういう感覚です。仕事で失敗したとか結果が出なかったなどで怒ることはありません。私が叱るのは、そういう軸です。それでモチベーションが下がる人間はいません。ですから叱るというより、問いかける、叫ぶという感覚ですね。

長島:なるほど。叱る基準は明確ですね。

渡邉社長:明確です。その人がそれをやり続けると、社会からその人が淘汰されてしまうというようなことですね。例えば数字が上がらなくても淘汰はされませんが、その人が自分のことを中心にものを考えたり、自分がされて嫌なことを人にしているような場合には叱ります。でも外の人から見たら厳しいと感じるかもしれません。




私語・私用メールは禁止

長島:あと著書の中で、就業時間中は私語私用メールは禁止しているとありますね。しかし最近は、社内はあえて楽しい雰囲気作りが大事だと、例えばコミュニケーションスペースを作ってラフに話せるようにするなど、一部ではそういった風潮もありますよね。そう見ると、私語私用メールを禁止することも、やや厳しいように見えますが。これを徹底されている理由というのは?



アイエスエフネットグループ
代表 渡邉 幸義氏

渡邉社長:基本的にドリームポイント制でみると、仕事の単価を決めてやってもらうわけで すから、ひとり5分間を無駄にすると、3000人で15000分なのです。これはとてつもない時間で、ひとりが5分しゃべっていると、その分の障がい者雇 用はかなりの割合でなくなる計算です。ですから集中して早く終わらせようというイメージです。私は来年か再来年から、一日8時間の勤務を7時間とか6時間に変えていきたいと考えています。社員にとっての最大の福利厚生は、短い時間で高い給料だと思っているんですよ。ですからしゃべっていて残業するよりも、早く仕事をして早く帰った方がいいんです。特に女性はその感覚をすごく持っていると思います。仕事時間についてはそういう発想をす るんですよ。これにノーという人はいないでしょう。説明をしっかりすれば、和気あいあいという発想から、切磋琢磨という発想になります。就業時間が終わっ てから和気あいあいとすればいいのです。

長島:就業時間中は切磋琢磨して全員で生産性を上げて、より高いパフォーマンスを上げようと。

渡邉社長:特に子どもをもつ母親はドリームポイント制の仕事ですから、その仕事が終われば早く帰れるわけですよ。そこが一番明確ですよね。ダイバーシティの基本は、より単価の高い仕事をやって、より短い時間で終わらせることではないでしょうか。だから我々が今、行き着いているところはそこです。

長島:リーマンショックの時に、売上は落ちたけれど利益が上がったというのは、たぶん今の話の延長線上にあると思うのですが。より濃密な仕事を短い時間で回して残業を減らしてくれた結果、利益が上がったと。その文化が、まさしく根付いた結果ということですね。

渡邉社長:リーマンショックのすごく大変な時に、朝礼で言ったことがあります。「私は絶対に理不尽に人を切らない、たとえ障がいがあったとしても絶対に切らない」。そう宣言しているんですよ。

長島:なるほど。

渡邉社長:常に言い続けていますね。リーマンショックの時は、障がいのある方など一般的に就労が困難とされる方が他所ではたくさん解雇されたんですよ。でもうちでは絶対に切らないと宣言しました。泣いている人がいました。私も常にそのように宣言することでリスクを背負うんです。そういうのがとても大事かなと思いますね。


未来ノート

長島:また少し話が変わりますが。渡邉社長について特徴的なのが「未来ノート」です。先々のことを全部予定にして、それを実行していくという独特のノートですが、あれは計画法とでもいうのでしょうか。未来ノートを始められたきっかけは何ですか。

渡邉社長:未来ノートのきっかけは、前職で外資系企業に勤めていた時、営業職でしたが、いろいろあって1年半くらい事務仕事をした時期がありまして。その後に、再び営業をやることになったとき、ふと不安になったんです。私は小学校4年からデール・カーネギーの「道は開ける」を読んでいました。その中で、「今日一日の枠の中で生きる」という一文があって、カーネギーは「不安なことを消し去るためには朝から晩まで忙しくすればいい」と。ですから私はその不安を取り除くのに、いろいろな予定を書いて、それに集中していったんです。その時の名称は「クリアノート」でした。

それをずっと続けていったのですが、180冊目くらいかな?そのくらいの時に、計画がたびたび詰まることに気がつ付いたんですよ。なぜかというと、必ずインタラクトが入るんです。それが重なるとモチベーションが下がってしまって。人にコントロールされると、なかなか予定通りにはできないじゃないですか。それが嫌で、あるときから「未来」に変えたんです。2週間先を書いているので、1日や2日詰まったとしても、また取り戻せるんですね。だからそういったやり方で2週間先の準備をするようになりました。仕事の上でも、2週間先くらいがちょうど良いんです。アポイントなら2週間あれば取れますし。一瞬一瞬の精度が上がりました。その繰り返しによって、人生がすごく変わってきた気がします。いろいろな情報を取った上でホスピタリティーを提供することができるようになった。それが大きかったかなと思いますね。



26年間、一日もかかさず書いて
いる未来ノート。

長島:なるほど。渡邉社長はストレス診断をされたら、ストレスがゼロという診断が出て、きみ、人間じゃないよ、とお医者さんから言われたというエピソードをお聞きしたのですが。未来ノートをやり続けているからこそ、でしょうか。

渡邉社長:やり続けるだけではなくて、潜在意識に入れているんです。私が書いているのはコク ヨの200ページのノートですが、びっしり、26年間、1日もかかさず書いているんです。そして、このノートを埋め続けると宣言しているんです。ノートが 埋まれば、どんなことがあっても会社は絶対に成長し続けると、潜在意識に入れ続けています。入れ続けることによって書くモチベーションというのができて、 それが精神的な安定になってますね。

長島:信じ込めていると。

渡邉社長:人間っておもしろいですよ。1ヵ月くらい言い続けるとそうなれるようです。私はそれを15年続けているので、疑っていません。カーネギーの言う「心配なことを取り除く方法」はいくつかあって、人間が持っている不安は99%は杞憂であると。要は、思い過ごしであると。確かにほとんどそうなんですよ。起こりもしないことに人間は心を揺らしているんです。心を揺らしている時間は集中できない。もったいないじゃないですか。その代替策として未来ノートを実際にやって、ちょっとした不安を書き足してみるんです。書き足している不安というのは、ひとつも実現していない。もう悩む必要がないなと思うのです。

長島:では未来ノートは未来だけでなくて、書いたものを実行し、かつそれを見返すことによって、書いたことのうちの不安なことは、実は起きないんだということを自分の中にインプットできる。そして、ますます自信を持ってできるようになると。

渡邉社長:あとこれは、ひとつの仕組みなのです。私は未来ノートを書き、それについて本も書きましたが、それから社員は僕のやっていることがわかるようになったんです。そして社員がマネをするようになりました。当グループの専任役員は全員が100ページを埋めています。これ、ものすごく成果が上がるんですね。そういう仕組み化をしています。僕が仕組みを作って成果を上げているので、真似している幹部が今60人います。

長島:多くの社長さんとお付き合いされると思うのですが、10年で成長する会社もあれば、伸び悩んでしまっている会社もあると思います。両者の違いはどこだと思いますか?

渡邉社長:ゴール設定の違いだと思います。創業時、私は社員6万人という設定をしていますので、約3000人(2014年2月現在)はまだまだ通過点ですね。周りには15年で3000人はすごいことだといわれますが、今の私はグループ全体で10万人を見据えているので、高く目標を置けば、プロセスがそういうレベルになるんです。その違いだと思います。

アイエスエフネットの目指すところ



表彰・受賞トロフィーの数々。さらなる
グローバルカンパニーを目指す。

長島:今、渡邉社長はどのくらい先までものを見ているのですか?

渡邉社長:2025年の10万人です。これは具体的に描いています。

長島:なるほど。そこから考えるということをされているわけですね。最後になりますが、今後、渡邉社長の目指すところや方向性をお聞かせください。

渡邉社長:これは社員に宣言していることですが、まず、当グループの社員は80歳まで全 員雇用を守り続けたい。そして、病気になっても給料を払って雇用を継続し続ける。社員のやりがいを創造し続けるのだと。それを常に宣言しています (2014年2月現在)。例えばメンタル不全になって働けなくなっても、生活保護が受けられなくなる時代になっても、それを会社でできるようにしていきま す。またFDM雇用創造宣言においては、誰もが60歳まで継続して働ける環境を創造することを目指しています。その宣言を実現させるために、未来ノートを 日々書いています。私はこれを全世界でやって行きたいので、2025年までの目標はグループ全体で10万人で、そのうち8万人が元就労困難者です。これを 実現する。そしてこれができるのは、やはり世界の中でも日本なのかなと。日本人の持っているアイデンティティーはすごく素晴らしいものがあって、やっぱり 和であるとか、家族もそうだと思いますし。そういう思いを全世界に伝えていって、グローバルカンパニーを目指していきたいと思います。

長島:引き続き大義をもって成長されることと思います。今後ともよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。





(渡邉幸義氏(わたなべゆきよし)アイエスエフネットグループ 渡邉幸義氏 PROFILE
渡邉 幸義(ワタナベ・ユキヨシ)氏
アイエスエフネットグループ  代表
設立:2000年
資本金:2億850千円
本社所在地:東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8F
代表者:渡邉 幸義
従業員数:2,922名(2014年2月現在、グループ全体)
       うち1,000名が障がい者や元就労困難者
事業内容:コンピューターシステムの運用、管理、保守やエンジニアの育成・派遣。
       ㈱アイエスエフネットを中心として、20大雇用(ユニバーサル就労)を掲げ、
        障がい者をはじめとした就労困難な方々に雇用の場を提供。
企業HP:http://www.isfnet.co.jp/                                   
長島淳治(ながしまじゅんじ) 船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント 長島 淳治(ナガシマ・ジュンジ)
船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント

2012年よりコンサルティング領域をITからOA市場に拡大し、チームを率いる。主なコンサルティング領域は営業力強化。その為のマーケティング支援。個人営業からチーム営業への転換を目的に、情報共有・営業の仕組み化を実施。新規飛込み営業の仕組み化やチームで実施する展示会の企画・運営支援に従事している。