明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

無料経営相談 0120-958-270 (平日 9:00-18:00)

文字サイズ
標準
拡大

対談集

プラス会員様限定

習い事スクール(子供)


少子化を追い風に変えた「そろばんの可能性」【後編】

株式会社イシド 代表取締役会長 石戸 謙一氏・代表取締役社長 沼田 紀代美氏

対談者:船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント 犬塚義人

1973年に千葉県白井市にそろばん塾を創業。今年創業40年。
現在、石戸珠算学園の直営教室は29教室、生徒数3600人。
いしど式グループ加盟教室は全国に120を数え、生徒数は1万人を超える。

インターネットそろばん学校


親の転勤などで教室に通うことが
できなくなっても、インターネット
そろばん学校が開校し、イシド式
そろばんを引き続き習得できる。

犬塚:今年で創業40年、今では全国に教室をお持ちのイシド珠算学園ですが、教室だけでなく、インターネットを利用したそろばん学校もされています。
インターネットがそれほど普及してない時代に、かなりの費用をかけてチャレンジされたかと思いますが、その目的などお聞かせ下さい。


石戸会長:インターネットそろばん学校は1999年に導入しました。
やはり自分の教えた生徒というのは可愛いですよね。そんな生徒たちが、両親の転勤に伴って引っ越していってしまうと。引っ越した先でそろばん教室に通ったのだけど、それが楽しくなかった。「もう一度いしどで習いたい」という嬉しいご意見をいただいていましたので、それならそのインターネットをうまく使えないかと。今まで教室に来ていてくれていた子供たちへのサービスとして始めました。ですから、インターネット社会に先駆け、夢と冒険を託して!というような大それたものではなかったのです。

犬塚:なるほど。便利なツールができたので、まず使ってみようという考えからなのですね。

石戸会長:そうですね。ですから利益が出ないから辞めよう、ではなくて、5年かけて運営経費が出ればいいかな、というぐらいの気持ちでした。
お客様は神様という言葉がありましたけども、私はその点ではお客様は先生だというふうに思いましたね。色々なことを自分たちに気づかせてくれる、教えてくれる。それに対して我々が取り組んでいけば、いい結果を生むということではないでしょうか。


社長職を退いた意味


千葉県白井市にあるそろばん博物館
(外観)

犬塚:私が長い間お付き合いさせていただくなかで一番大きな転換点だったのは、やはり社長職を譲られたことです。
前社長は会長として企業の中に残るケースが多いですが、石戸会長は本当に経営から抜けていらっしゃいますよね。今まで40年間育ててきたそろばん教室への執着やこだわりが無かったのか、とても不思議でした。現在はこの白井市にそろばん博物館を作り、地域貢献のほうに完全にシフトされていらっしゃいますね。

石戸会長:もともと裸一貫で始めたものですから、そんなに執着心は強い方ではありませんでした。
私自身、人生は二つあるというふうに昔から考えていまして、一般のサラリーマンの定年である60歳までは生活のため、子供を育てるため、会社を大きくするために利益を出そうと。
70歳、80歳になってもずっと会社に影響力を及ぼしながら経営をしていく方法もありますが、私は自分が長く経営に携わることで私が引退した後にみんなが困るようでは、企業はうまく継続していかないと思っていました。
今後は白井市のために、ある程度の自分のお金も使いながら、街を活性化させていくことが私の生き方だろうなと。これからはそろばん博物館を基本にして活動していきますので、二つ目の人生に入るために社長職をバトンタッチしたということです。



主婦から社長に


株式会社 イシド
沼田紀代美社長


犬塚:そうでしたか。では沼田社長にお聞きします。沼田社長は、専業主婦をしていた中で入社されたそうですが、ある日突然、社長になってしまったという感じですよね。戸惑いや不安はいかがでしたか?

沼田社長:そうですね。とにかく目の前にあることを一生懸命やってきたので、戸惑っている暇はなかったです。会長が奥様とともに築いてきて、創業40年を迎える会社ですから、それをお任せいただけるというお話をいただいたときは大きなプレッシャーでしたが、不安は無かったですね。
専業主婦になってから勤めさせていただいた会社で、本当に仕事が面白かったのです。20代の頃から教育に携わっていましたが、専業主婦になってみてあらためて、仕事に対する意識が自分の中で大きく変わりました。報酬を得るための仕事ではなくて、自分のすることがお客様に喜んでいただけて、社会のためになるということ。自分と社会が繋がっていて、その社会は教育という事業ですから、未来に繋がっていくというのがすごく実感できました。

犬塚:そこまでチベーション高く仕事ができて、しかも会社を引き継ぐほどの責任感は、ちょっと不思議に感じられますが(笑)。そういった考えに至ったエピソードなどはありますか?

沼田社長:インターネットそろばん学校の開発を全面的に任せていただけたというところでしょうか。入社した当時、ちょうどその計画が始まるところでした。社内で唯一、パソコンでメールができるということだけで「沼田さんやってごらんよ」とお声をかけていただいて。
いま考えると大きなことですよね。まだ多くの企業がホームページをやっと持ち始めたばかりという時代に、インターネットのeラーニングの事業を一から構築して、どんなシステムを使うのか。完成した後は、それをどう市場に広めていくのか。仕事でなければできないと思いますし、自分一人では当然できませんし、そういう環境とチャンスを与えてくれたのは、これはおもしろくないはずがないです(笑)。


犬塚:素晴らしいですね。それが最終的に会社を任せるというところにたどり着いたと。

沼田社長:そうですね。目の前のこと一つひとつが自分のミッションになっていって、「新しい事業やろうか」「はい!」「次はこれやろうか」「はい!」「社長もやってみようか」「はい!頑張ります!」というような感じでした(笑)。


犬塚:会長としては、肉親以外に社長を任せるということに不安は無かったのですか?

石戸会長:無かったですね。歴史的に見ても、血縁者に任せるのではなく実力がある人に任せた方が会社はうまくいくと。ですから子供に譲るという考え方は、初めから持っていなかったです。

犬塚:つまり会社が好きで、そろばん教育に情熱を傾けられるかたが、沼田社長だったということですね。
事業継承も無事終えられて、いま2年目ですね。業績のほうも順調ですね。

沼田社長:おかげさまで、その点についてはすごくほっとしています。



地域貢献(1) ウォークラリー


そろばん博物館を中心とした
地域貢献が行われている。


犬塚:石戸会長は第2の人生として、そろばん博物館を中心とした地域とそろばん業界への恩返しを考えていらっしゃいますが、地域貢献の取り組みとして、ウォークラリーを開催されましたね。これには何名ぐらい参加されましたか?

石戸会長:去年は約400名が集まりまして、この街始まって以来の人が出たといわれました。今年は500名以上を目標にしています。この街は千葉ニュータウンの中にあり、人口は減少していませんが、いつの間にか高齢化してしまっています。

そろばん博物館のある白井市復という所は、もともとこの街の中心地でした。しかし今ではお店もどんどん閉鎖してしまい、過疎化が進んでいます。こういう地域は外から人が遊びに来てくれるような、または故郷を懐かしんで帰ってくるような要素がないと、いつか破綻してしまうという状況が、いま日本全国でみられ ますよね。ですから自分の今まで経営してきたやり方や考え方が、街づくりにどう活かせるのか、これが今とても楽しみです。街から出ていってしまった若い人 たちに「この街も、なかなかいいぞ!」と思ってもらえれば本望ですね。



地域貢献(2) 見て触れる「そろばん博物館」


大正時代のめずらしいそろばんも
展示されている。


犬塚:そろばん博物館についてお聞かせ下さい。かなり古い物もあるそうですね。そろばんは、いま何点ぐらいありますか?

石戸会長:そろばんとそれに関連する書籍、自分で作った制作物を含みますと1000点近くになります。だいたい江戸時代以降のものが揃っています。人から見ると何の価値もないガラクタかもしれませんが、私にとっては宝です。そのうち100点ぐらいは頂き物です。家庭で捨てることになったそろばんを「捨てるのはもったいない。ここに持って来れば、なんとか生き返ってくれるんじゃないか」といって持ってこられる方もいます。


普通の博物館はショーケースの中に展示品が入っていて、それを静かに見て回りますよね。そうではなく、この博物館の中にあるものは全部触れるようにしています。そろばんは木のぬくもりが魅力ですから、触って初めて良さが分かると思うのです。たまに壊れることもありますけれど、それで結構。また私が修理して展示しています(笑)。
普段は自由研究などで学生が訪れるほか、近所の方がお茶を飲みに来られたりしています。楽しいご隠居さん生活が私の第2の人生です。


そろばんの未来

犬塚:それは楽しみですね。では、いしど式そろばん教室を任された沼田社長、今後の未来戦略として、どういったことをお考えですか?


(左)犬塚義人 (中)石戸謙一氏
(右)沼田紀代美氏

沼田社長:株式会社イシドとして、私は3つの戦略を立てています。1つ目はまず、そろば ん業界のパイオニアになること。自分達が先駆者として、そろばん教育をどう伝えていくかが私たちの役割だと思っています。2つ目は、そろばんの世界戦略で す。世界の90%が貧困層といわれていて、その貧困から抜け出すためには、やはり読み書きそろばんなど基礎の教育が絶対に大事です。

世界の国々発展途上国 を含めて、そろばん教育を普及していけたらと思います。3つ目は、IPO(株式公開)を目指していきたいと思っています。これは利益の追求ということではなく、日本のそろばん文化を守っていく私たちの立場、企業が上場することによって与える社会的な影響の大きさを考えて、実現に向けて邁進していきたいなと思っています。



犬塚:これほど一つの分野に真摯に向き合い、磨き上げてきたスクールの事例は珍しいと思います。収益性や合理性、効率性のほうに流れていき、どこかで歪んでしまうことが多いなか、イシド珠算学園においては、基本に忠実に、あるべき姿を追い求めていき、それによって会社自体も良い方向に向かったと。事業継承は実力があって仕事に一番情熱を傾けられる人材の中から選ぶ。この考えのもとに実行され、今のような成功に繋がったのだということを見せていただきました。

今日はどうもありがとうございました。




前編はこちら



株式会社イシド
PROFILE
石戸謙一(イシドケンイチ)氏 (左)
株式会社イシド    代表取締役会長

沼田紀代美(ヌマタキヨミ)氏 (右)
株式会社イシド    代表取締役社長
 
 設立 :1973年
資本金:1,500万円
本社所在地:千葉県白井市掘込1丁目1-12 渡辺ビル2F
事業内容:そろばん教育事業、直営教室「石戸珠算学園」
       の運営、加盟教室への教育ノウハウの提供、
       「インターネットそろばん学校」の開発、販売、
       珠算教師資格コースの運営、新規開校の支援
実績:読上暗算小学生日本一、読上算小学生日本一、
    読上暗算中学生日本一、読上算中学生日本一
全関東学年別大会2年連続最優秀団体獲得・最優秀選手・
ジュニア名人位獲得、全日本珠算競技大会優勝等多数

そろばん博物館:千葉県白井市復1459-12
開館時間 水~日・祝日 10:00~16:00
ウェブサイト:http://www.soroban-muse.com/



犬塚義人(イヌヅカヨシト) 船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント 犬塚 義人(イヌヅカヨシト)
船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント

船井総研『スクール・教育ビジネスチーム』のチームリーダー。年間300回を超える学習塾や スクール企業のコンサルティング支援や社員研修・講演を行い、その「現場主義」に基づいたコン サルティング・講演内容は、業界内外を問わずファンも多い。「今後、競争が激化する学習塾業 界においては、社員は『講師』であるだけでなく、『ビジネスパーソン』であり、『会社人』であり、 『真の教育者』でなければならない」という信念のもと、学習塾企業の社員向けに研修を行ってい る。10年を超える教育ビジネス現場の経営コンサルティングに裏づけされた豊富な知識量と、 全国各地の成功ノウハウの引き出しの多さを盛り込んだ講演・社員研修は非常に好評で、各地 域の大手学習塾企業からの毎年の定期研修を依頼されている。

 

■スクール・学習塾の即時業績アップを支援する「スクール経営.com」 
■ スクール経営コンサルタント@船井総研のブログ