シミュレーションしてみると見える新しいビジョン、生まれる発想
コロナ禍の中、菅政権がスターとして3カ月余り。もちろん、コロナの感染防止対策が一番気がかりでしたが、中小企業向けの政策にも同じくらい注目しています。
菅総理が掲げる目玉の一つは、中小企業の生産性向上・再編の促進で、政権発足後、早速「最低賃金の引き上げ」「中小企業基本法の改正を検討」「DXの税控除」等が報じられました。
日本の中小企業は企業全体の99.7%を占めていますが、中小企業白書によると、労働生産性(従業員1人あたりの付加価値額)の中央値は大企業の585万円に比べ、中規模企業は326万円、小規模企業は174万円と、下がる傾向にあります。そこで、中小企業に生産性も高めてもらおう、必要なら再編してもらおう、ということです。
税控除や助成金等は歓迎される一方、「再編」については賛否両論で、菅総理のブレーンであるアトキンソン氏が、「生産性を高めるためには、一定以上の規模が必要。継続的に向上させるには規模の拡大が欠かせない。」「2060年までに中小企業の数を現在の半分以下、160万社程度まで減らすべき。」と主張されていることから、一部では菅政権は中小企業を淘汰するのか!?という論調もあるようです。
実際に、菅政権が中小企業数を半減する程の政策をとるかどうかは分かりませんが、私のおススメは自身の業界や地域で、企業数が半分になる世界をシミュレーションしてみることです。
そうすることで、新しいビジョンが見え、既存の延長線上にない新しいビジネスモデルを始めよう、という発想も出てきます。また、船井総研の創業者の舩井幸雄氏は、「競争ではなく共生」と言っておられましたが、同業他社との提携による生産性向上、友好的M&Aによる再編等が想起されることもあります。是非、シミュレーションしてみてください。
また、船井総研では、各業種の専門家チームが、業種別動向と勝ち残るためのビジネスモデルについてレポートをまとめていますので、ご参照ください。
株式会社船井総合研究所
取締役 専務執行役員 出口 恭平