皆さんこんにちは。株式会社船井総合研究所、事業イノベーション支援部でございます。今回は失敗しない新規事業参入、そのためにやるべき「これだけ7選」と題して、このようなアジェンダでお話しさせていただきます。
はじめに
昨今の日本では少子高齢化、人口減少が叫ばれて久しいですが、新規事業を検討して、今後より一層成熟していく国内マーケットの中で生き残っている会社になるんだと意気込んでいる会社様も多いことかと思います。しかし、実際は多くの企業で新規事業が成功することはありません。正確に言うと、色々な事情や理由をつけて新規事業に参入することなく終わる、または少しだけ新規事業に参入して、誰も知らない間に撤退する、どちらかのケースで終わることが多いです。そのため、今回は船井総研のこれまでの新規事業参入支援の実績を踏まえた上で、9割が失敗すると言われている新規事業参入を成功に導くためにやるべき厳選アクション7選をご紹介いたします。
やるべき「これだけ7選」
一つ目のキーワードは「既存事業の売上予測について、直近3か年の成長率を参考に2030年までの売上成長見込みを見極める」ことです。人口減少の予測値など、政府が発表している報告書やレポートなどを基に、将来の売上高予測を行います。そうすることで自社が現在ライフサイクルのどの位置にいるのかを客観的に把握することができ、今後の事業運営の方向性決定に役立ちます。
二つ目のキーワードは「自社にどんな経営資源があるのかを、ちゃんと理解する」です。自社が抱える経営資源、土地、資金、人材、ノウハウなどは、何がどの程度あるのかを把握します。そして本業に充てている資源から、今後展開する新規事業にどれほどの予算や人材などを割くことができるのかを確認する必要があります。
三つ目のキーワードは「新規事業とは、参入タイミングできまる。伸びているタイミングで参入せよ」です。こちらのプロダクトライフサイクルで見る場合、導入期から成長期にかかるタイミングで市場に新規参入することが最も成功する可能性が高いので、このような見極めをすることが成功の鍵となります。また、自社の状況としては、業績が伸び続けているタイミングや既存事業の成長性に不安を感じている時などが新規事業について考える良いタイミングだと言えます。
四つ目のキーワードは「新規事業を手掛ける目的、事業を通じて達成する目的を、経営トップで合意する」です。新規事業を始める際には、何のために、どのような事業を行うのか、経営トップでその目的を合意する必要があります。新規事業としては、自社の課題解決のため、サステナビリティへの対応のためといった目的を設定し、黄色枠で示している区分のうち、どのような新規事業でその目的を達成するのかを明確にし、社内でその内容への理解を深めることが重要になります。
五つ目のキーワードは「今後10年間成長していく可能性のある事業を選ぶ」ことです。思い付きや社長の趣味だけで新規事業案を決定してはいけません。こちらは新規事業に成功した企業の考える成功要因TOP10のグラフです。新規事業の成功で最も重要なものは、もちろん市場のニーズを捉えた事業アイデアであることです。そういった、市場の顧客ニーズとの適合性が高い新規事業アイデアを基に事業を行うことによって、今後10年の事業成長を見込むことが可能になります。
六つ目のキーワードは「社内で優秀だと思うグループに属する人材を充てる」ことです。こちらも先ほどと同じ新規事業に成功した企業の成功要因TOP10のグラフです。トップ10のうちにリーダーが優秀であること、メンバーが優秀であることがランクインしています。もちろん優秀な人材を活用すれば必ず成功するとは限りませんが、自社では新しいものを作っていくことになるため高い情報収集力やコミュニケーション能力、また、深い知識を持ち合わせていて、それを新規アイデアへ落とし込む力があるなどの優秀さを持つ人材を新規事業に割くことによって、成功の確率を高めることができます。
最後の七つ目のキーワードは「事業を立ち上げる目標時期を決め、社長が陣頭指揮を執る」ことです。新規事業の指揮は社長や専務、常務といった経営トップが握ることで成功する可能性が高まります。理由としては、新規事業開発、新市場への参入は自社にとって大きなコストをかける一大プロジェクトになること、また、新規事業立ち上げまでの最長期間は1年程度で、スピード感を持った業務進行が必要になること、それらを迅速に推進することができる決裁権などを所有し大きな責任を伴う仕事ができること、これらを合わせた際に最も適切な指揮者が経営トップであるためです。新規事業の成功を導くには、経営トップが指揮を執ることが鍵となります。
まとめ
いかがでしたでしょうか、新規事業参入とは企業の本気度が問われます。極論を言えば、本気で取り組んだ企業のみをグルーピングして成功確率を算出した場合、9割が失敗するといった結論には決してならないでしょう。反対に言うのであれば、船井総研にてこれまでご支援をさせていただいた企業様の実績を見るに、今回ご紹介させていただいた7選を設定することによって新規事業参入の成功確率は格段に上がると言えます。ぜひ新規事業参入を検討している企業様は、ご紹介しました点を真剣にご検討してみてはいかがでしょうか。皆さまの新規事業参入の成功を心よりお祈り申し上げます。