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| ゆずでまちおこしに成功した馬路村。小さな村の大きな挑戦(2) |
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| 杤尾 圭亮 |
| 2008.09.26 |
高知県の馬路村は、人口1,100人、面積165k平方メートルの96%が森林という典型的な中山間地域である。しかし現在では、ゆず加工品において日本有数の生産・販売の拠点として日本の注目を集め続けている。
そんな馬路村のビジネスモデル、そしてその立役者とはどんな人物であるのか?
馬路村のビジネスモデル、及び事業の立ち上げを行った東谷望史氏に注目しそのリーダー像に迫る。 |
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■ 成功への道 2 「外部との協働」
馬路村は、東谷氏の12年に及ぶ努力によって1988年に「日本の村101展」で最優秀賞を受賞し、以後、爆発的なヒットを記録する。背景には、東谷氏を事業に駆り立てた三要素が実を結んだことが挙げられる。
一方でヒットを加速させた要因は「外部を活かしたデザイン」にある。特に馬路村の二大商品である「ゆずの村」「ごっくん馬路村」が奇跡と呼ばれるほどの人気を博したのは、東谷氏と外部デザイナーが考えたコンセプト「村を丸ごと売る」がデザインとして成立した点が大きく貢献している。
しかも同氏が考えたデザインは、村の内部で完結するものでもなく、また外部に完全に委託するものでもない。それは、「村と正面を向いて付き合ってくれるデザイナー」との協働であったという。
当時から、東谷氏は自分とコンセプトを作り、じっくり時間をかけてデザインに落とし込んでくれるデザイナーを探していたという。
もちろん、馬路村でも以前からデザイナーに依頼していた。しかし同氏はどうも「しっくりこなかった」という。その理由は、「有名なデザイナーになればなるほど、一緒に話す時間がなくなる。そうなるとこちらの思いを伝えられなくなり、デザインに思いが反映されない」点にあったという。
そして、「有名でなくても、手間隙をかけてじっくりと取り組んでくれる人がほしかった」という思いで出会いを重ねるうちにめぐり合った人物が、現在も馬路村のデザインを手がける田上氏である。
現在、田上氏は、自分のオフィスの他に馬路村のゆず工場「ゆずの森」にも自らのデスクを持つ。他からのオファーを多く受けるようになった今でも、馬路村のデザインを考えるときは、馬路村を一望できる村のデスクに座り、時に農協メンバーと激論を交わしながらじっくりデザインを落とし込むという。
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| 最新鋭のゆずのもり工場のライン(左)と田上氏のオフィス(右)。 |
地域を見回すと、有名なデザイナーに高額の報酬でデザインを丸投げする事例もあるが、多くの場合は失敗する。
大切なことは、内部で完結することでも、外部に丸投げすることでもなく、いかに外部の専門家を本気にさせ、巻き込んでしまうかにある。この点において、馬路村のデザイン事例は地域と専門家の理想的な関係を示している。
■ 馬路村の進む道 〜将来に向けて〜
現在も快進撃を続ける馬路村。2006年に完成した「ゆずの森加工場」では合計70人以上が働き、工場を訪れる視察団は年間約300、視察者数は3000人に及ぶ。いまやゆず関連産業は日本でも有数の村おこし産業へと成長しと言える。
では馬路村に死角はないのか?東谷氏はこの質問について、二つの課題と取組みについて言及した。
課題(1)後継者を育てる
第一の課題は後継者であるという。
これまで、東谷氏、及びその周りをささえるブレーンによって成り立っていたゆず関連事業は、コールセンター、工場、などのシステムによって仕組み化された。しかし、事業における重要な点は、仕組み化以上に働く人間が知恵を出し、新しいチャレンジを続けることにあるという。そのためには、今後重点的に人材育成が必要になる、と東谷氏は語る。
特に、爆発的なヒットを記録し始めた1987年からすでに20年が経過している。今後は、次世代を担う若い人材がこれまでの自分たちが築いた常識を打ち破る試みを行わなければならないと東谷氏は指摘する。
そのために開始しているのが、新しい人材の採用と育成である。
採用においては村内だけでなく村外にも目を向け、様々な人材を採用し新しい仕事を任せる。机の上の議論ではなく、肌感覚で事業のセンスを磨くことに重点を置きながら人材育成を進めながら人を育てる。
唯一つの気がかりである「危機感が充満していた二十年前の空気を知らない点」に注意しながらも馬路村での人材育成は続いている。
課題(2)おいしさへのこだわり
第二の課題は、おいしい商品へのこだわりだという。
馬路村の商品は、村独自のゆず加工品に「村をまるごと売る」という付加価値を加えて成り立っている。中でも人気を博す馬路村の二大商品であるポン酢「ゆずの村」、そして蜂蜜ゆずドリンク「ごっくん馬路村」は、全体売上の50%以上を稼ぎ出す。
しかし、東谷氏は現在の馬路村人気、そして上記二商品に負けることのない、「味で勝負できる」商品にチャレンジし続けている。特に、ゆず独自の味で勝負をすることになる「ゆず酢」はその代表的な商品分類。同氏はこの柚子酢において馬路村の最高の商品を作りたいと語る。
現在の主力二品目、そして他にも50を超える商品群が存在しているのであるから、あせる必要はない。しかし一方で、同氏は現在の馬路村の隆盛に甘んじるつもりはない。
むしろ、事業として余裕のある現在こそ、そして自分が組合長として事業に関わる事ができる今だからこそ、おいしさを追求する新しい主力商品を開発する必要があると語る。
現在、1,100人規模の村で商品販売30億以上を誇る馬路村。その影には、現組合長である東谷氏の20年以上にわたる努力、外部デザイナーとの出会い、そして事業を仕組み化する努力があった。
完成されたかと思われる馬路村ビジネスモデルであるが、東谷氏の目線は次世代へと移っている。
そこには後継者育成、そしてさらなるおいしい商品の追求というこれまでにない二つの難しい課題が存在する。しかし、幾多の困難に打ち勝ってここまできた馬路村だからこそ、次なる飛躍を期待できる。
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