コンサルタント&経営者コラム

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コラムニスト
真貝大介のコラム/真貝 大介
「世界最高峰のフィンテックサービス」
2018.01.29

著者(発行責任者):真貝 大介

昨年12月に船井総研のコンサルタント全員で上海研修に行きました。船井上海の視察が目的でしたが、上海全体が発する膨大なエネルギーに社員一同、圧倒され続けた2泊3日でした。
         
特に私が衝撃を受けたのが、最近注目のアリババ社による信用プラットフォーム「芝麻信用」です(中国語読みはジーマーシンヨンで、日本では「ゴマ信用」と読まれるのが一般的)。日本で個人の信用情報といえば、CICのような貸金事業者の照会先が思い浮かびます。しかし、芝麻信用の格付けは、利用シーンや設計に大きな違いがあるのです。

(1)CICは主に負債中心の「債務状態」の格付けですが、芝麻信用は収入や資産等も含めた総合評価であり、金融機関が行う定量評価だけでなく、人脈や行動履歴といった定性評価もインプットされている。

(2)CICは貸金事業者が照会する「クローズド」なシステムであるのに対し、芝麻信用はさまざまなパートナーに解放されており、高得点な個人に対 して便宜が図られる。

(3)CICでは自分自身の格付けを知り得ないが、芝麻信用は自分でリアルタイムに点数を知ることができ、スコアリングのメカニズムは明かされていないものの、ある程度想像がつくため、スコアの上下と行動の因果関係がわかる。

芝麻信用は、アリババ社の決済システム「アリペイ」を通過した莫大なデータを土台とし、評価要素に「学歴」「勤務先」「資産」「返済状況」「行動」等を加えています。現地では、皆で競うように点数を見せ合い、ステータスとしてかなりわかりやすい指標になりつつあります。

現地の社長から聞いた話では、顔認証システムも利用できるため、街中で歩き煙草をしていれば、顔認証でスコアを下げることも可能とのことです。つまり人々の行動様式にまで影響を与えているのです。

金融機関の方ならずとも、この評価モデルには驚かれるのではないでしょうか。事業性評価の理想に近いモデルであり、一金融機関では構築が不可能なシステムを、個人版とはいえ、すでに完成させ、次元の異なる効果を生んでいるのです。現段階での世界最高峰のフィンテック企業はアリババ社であると感じさせられた視察でした。