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コラムニスト
川原慎也のコラム/川原 慎也
「勤勉な日本人が陥ってしまう非効率の罠」
2018.09.05

著者(発行責任者):川原 慎也

「働き方改革」のルールは本当に効果があるのか


働き方改革を実践するために、「〇時には全員退社」のようなルールを設けている企業もありますが、果たしてどれほどの効果が出ているのでしょうか。

定時退社をルール化することで、「時間内は集中して仕事をやるようになるから、生産性が上がるのでは…」という話を耳にするたびに、「いやいや、あるにしても微々たるものではないのか」と思ってしまいます。仮に、従業員が仕事を自宅に持ち帰っているような状況を招いてしまっているのであれば、経営陣の責任として解決しなければならない問題を、従業員に押しつけているだけに過ぎません。

そもそも、組織で仕事をするという環境において、生産性を上げるために従業員それぞれができることを考え、努力をすることは、「やらないよりもやった方が良い」程度の取り組みに過ぎないものになりがちです。大した効果が見込めないという観点でいうと、むしろやらない方が良いと考えるべきかもしれません。

ルールは標準化ができてから

多くの日本企業に見られる特徴として、日本人は勤勉であるがゆえに、「こうすればもっと上手に、効率よく仕事ができる」と個々人がそれぞれ創意工夫を繰り返します。しかし、そうすることで、多くの作業が“属人化”(あの人がいなければできない、自分がやった方が早い)してしまい、“標準化”が進みません。

業務の“標準化”とは、誰が担当しても最終アウトプットの品質・スピードが担保されている状態です。そのためには作業プロセスが明確かつ細分化されている必要があります。またこれは、プロセスの途中でメンバーの交代が容易にできることまでを指しています。

日本よりも生産性が高いとされているドイツにおいて、一従業員が当たり前のように長期休暇をとれる最大の理由は、「〇〇さんでなければ」といった、仕事が人についている状態を排除しているからです。

つまり、しっかりと業務の“標準化”が浸透している職場環境においてこそ、業務量の“平準化”(同時刻の全員退社)が可能になります。