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片山和也のコラム/片山 和也
「従業員14名の町工場がサイコロで世界一を目指す」【WEB限定無料公開】
2017.10.02

著者(発行責任者):片山 和也

ここ2~3年、部品加工の分野でも特に重要性を増してきているのが「微細加工」と呼ばれる領域です。微細加工とはサイズ0.3mm未満(=肉眼で確認することが困難なサイズ)の領域を指します。その背景にはIoTやAI化の進展により各種電子部品やセンサ、カメラなどの緻密化が挙げられます。

ところがこの分野は、いまだに加工ノウハウが確立されていません。例えば機械工学の切削加工理論では、工具直径1mm以上の領域における大半の切削挙動が理論的に解明されていますが、工具直径1mm未満の領域においては、9割の挙動が未だに解明されていないといわれます。

そうした中、埼玉県入間市に本社工場を置く株式会社入曽精密(従業員14名)では、昨年に0.1mm角の世界最小のサイコロを製造することに成功しました。0.1mmといえば、髪の毛の太さとほぼ同じです。さらにこのサイコロの製造に使用された工具は直径0.02mmであり、もはや肉眼ではほぼ見えないサイズの回転工具です。

「世界一」をつくれば全国から、そして世界から注目を集める

こうした極めて難易度の高い加工を、高価で特別な設備ではなく、普通の町工場で市販されている汎用の設備で行った、というところに大きな意義があります。同社の斎藤社長は「町工場でも難易度の高い微細加工が行えることを証明したかった」といいます。

この取り組みを通して、工具の取り付け方から条件設定、ワークのハンドリング方法から冶具への取り付け方法といった、微細加工に関わるテクノロジーインフラを整備することができました。

同社ではこのノウハウを日本の町工場に広め、世界中から日本に依頼が集まる構想を持っています。「シリコンバレーで加工の案件があっても日本には来ません。日本を通り過ぎて中国・深川に流れてしまいます。この現状をまず変えたいですね。」と斎藤社長は語ります。

この世界一小さなサイコロは全国放送のテレビでもゴールデンタイムに放映され、また、海外の学術機関からも注目を集めています。世界一を狙うという取り組みは、とても意義深いことです。



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