明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

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対談集

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ロジスティクス



ドライバーが集まる理由

橋本:運送業界はドライバー不足だと言われている中、富士運輸にドライバーが集まる理由は、なんでしょうか。

松岡社長:まず、運送業界には長時間労働、低賃金、家に帰れないとか、そんなイメージがありますよね。そのためには、まずは長時間労働をなくして、できるだけ労働基準法の範囲内でおさめる。まずそれをしています。 最近は、家に帰らず長距離を走りに走って稼ぎたいという人がいなくなってきたんですよね。だから3日は長距離で出るけど4日目には帰れるとか、そういったきっちりしたシフトができているというところが1つでしょうか。

そして、安全な機能がついた新しいトラックにどんどん入れ替えていることでしょうか。当社はトラックの事故や怪我がまだゼロなんです。それと、語弊あるかもわからないですが、態度の悪い社員がいないので、真面目な社員が集まる会社というイメージで、結構いい社員が来てくれています。今でしたら3人に1人が大卒で、家庭もあって、プライベートも大事にする、そんな人材が多いですね。

橋本:そういえば、最終面接は社長がされているんですよね。全国から奈良の本社に呼んで最終面接をされていると聞いて、僕は本当に驚いたんです。

松岡社長: 橋本さん、それ本当に大事なところです。社長が自分の会社の従業員の顔も知らない、名前も知らない、会ったこともない。これは絶対ダメですよ。僕は必ず全員に会って、最低20分、長くて1時間くらい話をするんです。その話の中身っていうのは、ドライバーとしてではなくて、将来何がしたいのかとか、会社に入って目標を持って欲しいとか、家族構成とかね。今ハローワークでは聞いてはいけない項目がいろいろあるんですね。でもまぁ僕は全部聞きます(笑)!聞いてはいけないことって、だいだい聞きたいことなんですよ。もうとにかく深く深く聞いて、全部メモします。

将来的にその人が3年後4年後に、当社のどこかの支店で支店長になっているかもしれないですよね。でもその人と会っていなかったら、どんな人かわからないです。やはり少しでも話していると印象に残りますし。

最近、面接した子には「社長、僕まだこんなに若いですけど、支店長目指して頑張りますので握手してください!」と言われました。この会社に入ったら社長と会って話しができる、社長に直接いろんなことを言える、やっぱりそういうのが喜ばれているのかなと思いますね。

橋本:そこにつながっているんですね。

何かあれば社長に電話を

橋本:そうすると、営業所を回った時もドライバーの皆さんとお話しされたりも?

松岡社長:そうですね。しますし、基本的に私の携帯番号は従業員に渡しているので、携帯に私の番号が入っていますから、どんな用事でも、苦情でも、遠慮なく私の携帯に電話しなさいと言っています。

橋本:それは全従業員、全ドライバーから直接の電話もありと。

松岡社長:ありあり。もう、ぜんぜんありです。

橋本:実際かかってくることはあるんですか?

松岡社長:日に1件2件はかかってきますよ。

橋本:そうですか!

松岡社長:これって大事な話でね、例えば配達に行った時に、いつもお世話になってここの会社、いつもと動きがおかしいとか。なんか新しい工場を建ててまた出荷をするみたいだとか、もうドライバーさんでなければ知りえない…

橋本:営業情報ですね。

松岡社長:そう。どうも今入っている運送会社が倒産しそうだとか、そんな情報をくれるんです。情報をくれた瞬間に必ず動きますので、やっぱり生の現場情報はすごく大事です。倒産情報って倒産したら1週間くらい経たないとわからないですから。ドライバーさんのおかげで大きな仕事が取れたとか、そういうことも本当に多いですね。

得意なところに磨きをかける

橋本:富士運輸は破竹の勢いで業績を伸ばされてきましたが、その軌跡というか流れを教えていただけますか?

松岡社長:はい。僕が31歳で社長に就任したときは、まだ7人しか拠点がなかったんです。自分が社長になって奈良県の市場でお客様に営業して仕事をすると、地元の顔見知りの運送会社から「仕事を取られた」とか「営業に来やがって何してくれんねん」というようなことを言われていました。これ以上奈良県で戦って売上を伸ばすよりも、名古屋や東京に出て行こうということで、ちょうど私が社長になる年に名古屋に出しました。 名古屋では、しがらみがまったくない、知り合いもいない、大企業がたくさんある。どんどん営業に行って、運送会社で荷物運ばせてくださいと言うと、新しい仕事をどんどんいただけたんです。これは面白いと。だからとにかく企業に飛び込みに行って話を聞いてもらいました。そこから、とにかく新規開拓を自らするようになりました。名古屋のあと、すぐに東京、成田と開拓したんですけど、もうとにかく新規訪問でしたね。大企業であろうが航空会社であろうが直接アポイントを取ってどんどん行って。するとね、意外と会ってくれるんですよ。

橋本:社長自ら行かれるんですか?

松岡社長:はい。私が社長の名刺を持って、奈良の運送会社ですと。東京にトラックを走らせて来たんですが、帰る荷物がなくて困っていますとストレートに言ったんです。そんなに君、困っているのかと。一回、話だけならいいよと。そこからだんだん仲良くなって、2回3回会っているうちに仕事をくれるようになるんですよね。

橋本:そうだったんですね。

松岡社長:関西の運送会社が東京まで営業に行くのは、意外と少ないんですよ。ここのお客様はこの運送会社で決まっているから仕事は取れないだろうと、だいたい皆さん思うことなのですが、何年も使っている運送会社に不満を持っているお客様は実は多いので、逆に、結構、歓迎されるんですよ。とにかく大手のメーカー、運送会社にも、どんどん飛び込みました。それが現在も当社のメインの荷主さんになっているんです。

橋本:当初の台数からぐんぐん伸ばして、拠点も今30以上ありますもんね。 成長の過程でアグレッシブに攻められたわけですけど、社長の考え方ですごいなと思ったのが、「やらないことを明確に決める」ということです。それだけアグレッシブにされていても、これとこれはやらないと決めている。その考え方を教えていただきたいです。

松岡社長:はい。運送会社は意外と、「こんな荷物を運んでください」と言われると、それに合わせるようにトラックを買いたがるんです。そうやっていろいろな車を増やすほうがいいのかというと、特殊な車をたくさん持つことによって逆に効率が悪くなるんですよね。 昔、父親がやっている頃に、平ボデーも、2トンの小さな車も、4トンのクレーン付きの車もありました。しかしよく見てみれば、月に半分しか動かないとか、稼動が非常に悪いんですよね。ですから今までやっていた2トン車とか、当時やっていた4トンの冷凍車も全部やめました。当社の戦略は、ウイング車でドライの貨物4トンと10トン、これでいこう。そして長距離に特化すると。

先ほど話したヤマト運輸の例ですが、宅急便の開発に何を参考にしたかっていうと、実は吉野家の牛丼だそうなんです。吉野家に入った時に、ここのお店は牛丼しか売っていないのに、なんでこんなに売れてるのかと。それは牛丼に絞っているからです。当社も大型4トン10トンの長距離一品勝負でいくと、それが実はよかったんですよね。余計なこと、不得意なことはしない。得意なところを徹底的に磨きをかけると。そういうのも自分が社長になった時に始めたというのが、結果的に良かったですね。

いい会社とは?

橋本:以前、2030年には2000台体制を目指すとおっしゃっていました。今の勢いですと、もっと早く達成するのではないかと思います。今後の展開や課題、克服したいことなどあれば教えてください。

松岡社長:今現在、当社の規模はグループで1000台、売上で170億ですけれど、日本の物流業界の市場規模は18兆円あるんです。ということは、まだ1000倍以上ありますし、まだまだニーズがあります。その中で大型トラックは国内でどんどん減っている。これは中小の運送会社が衰退している、大手運送会社がトラックを持たない、そういった理由からですが、だから大型トラックが必ず足らなくなる。そういうマーケットで伸ばしていこうと思っています。

今は大型トラック約900台ですが、2030年には2000台にして、もっと労働効率を上げて、それをITで管理できて、なおかつ労働基準法がきちっと守れる、法律を守って輸送ができる、そんな会社づくりをしたいです。トラックの数が増えれば増えるほど、お客様は本当に増えてくるんですよ、不思議なことに。もう少し拡大しようかなと思っています。

橋本:ありがとうございます。とても参考になるお話が多かったと思います。

最後に、これをお聞きしたいと思います。松岡社長の考える「いい会社の条件」は、何でしょうか。

松岡社長:僕ね、社員によく「いい会社ってどんな会社だと思う?」って質問するんですけど、給料が高くて安定していて休みが多くて…という人が結構いるんですよね。君ら、そんな給料高くても、いつまでももたないよと。休みが多かったら、もっと一生懸命働く、働き者が揃っている会社がもっと勝つよと。

本当にいい会社って何かっていうと、強い会社だと思うんです。生き残れる会社。競合他社に負けないということですね。厳しい話ですけど、やっぱり勝ち残らないと、ダントツ一位にならないと、徹底的に磨きをかけてその業界で1位にならないと、残れない。そうやって生き残る会社って、本当にいい会社なんですよね。そのためには一番にならないといけない。一番になる、規模を拡大する、スケールメリットが出る規模にする、これを達成すれば、これがいい会社だと。僕は思いますね。

橋本:なるほど。わかりました。とても参考になりました。今日はありがとうございました。


社長の携帯番号を伝えるなど社員との距離が近く、何でも話せる職場環境

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松岡弘晃(まつおか・ひろあき)氏
富士運輸株式会社 代表取締役

本社所在地:奈良県奈良市北永井町372
設立:1978年
資本金:3,000万円
従業員数:980名(2015年10月現在)
拠点数:28拠点
車両台数:865台(10t車 760台・4t車 95台)
※ トレーラーシャーシ除く (2015年4月現在)
事業内容:運送業、中古トラック及び中古部品の販売
http://www.fujitransport.com/

※ 企業プロフィールは、受賞当時のものです。
橋本直行 橋本直行(はしもと・なおゆき)
株式会社船井総合研究所

1997年船井総合研究所入社。ドライバー業界に精通し、ドライバーの採用・定着力アップの具体策を支援企業、会員企業とともに編み出している。特にトラック業界に強みを持ち、“社員が誇りを持って働くことのできる物流会社を創る” ための経営研究会「ロジスティクスビジネス経営研究会(FUNAI ロジスティックソサエティ)」を主宰するだけではなく、タクシー・バス業界にも社員が誇りを持てる会社を増やすべく、交通ビジネス経営研究会の監督も行う。