明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

無料経営相談 0120-958-270 (平日 9:00-18:00)

文字サイズ
標準
拡大

対談集

プラス会員様限定

消費財メーカー



社長の経営意識

中野:工進さんは、腹のくくり方がすばらしい。お付き合いは長いですが風化する気配がないし、思想が一切ぶれませんね。 決済に関しても、もの凄い量があると思うけど、しっかりご覧になるし。社長にダメだと言われたと、僕が社員から聞くぐらいですから(笑)

小原社長:全部目を通しますよ。それで気づいたところをアドバイスしているつもりなんですけどね。

中野:そこね、すごく大事なんですよ。トップになると経営自体で忙しくなるので、誰かに委ねるシーンが出てくるじゃないですか。小原社長はそこを外さない。社員からも「社長はお客様目線だ」と言われてますしね。だからといって良いものとお客様が望むものだけで終わったらダメなんですよね。やっぱり利益は出さないといけない。その両輪に取り組んでいらっしゃるところが立派だと思います。

無借金経営と財務体質

中野:メーカーは設備投資がかかる業界ですが、工進さんは設備投資をかなりしていますが借入金がほとんどないですね。

小原社長: 何年か前までは借入金があったんです。輸出をするようになって海外の強い相手と競争するうちに、やっぱり財務体質を変えなあかんと。そう反省してバランスシートを見て無駄をそぎ落としていったんです。その結果、利益も出ましたから借入金も数年前に全部、返済できたんです。私が心配性というのもあるんでしょうな(笑)

中野:それをお取組先様に「わが社は当年を持って無借金になりました」と、すべて開示していますよね。非上場法人は財務情報を開示する義務はないんですよ。普通、そんなの言わないですよ。「だったら値引きしてくれ」という話になりかねないんですから。おそらく、お取組先様も同じように良くなってもらいたいとのお考えからだと思います。 同じように社員も大事にしていらっしゃいますね。コスト削減というと、まずは人件費という声が出るものです。しかし小原社長は絶対に辞めさせず、従業員の雇用は絶対に守ると宣言しています。もちろん約束が守れなかったりトラブルがあって降格することがあっても、社員はちゃんと続けて頑張っていますね。敗者復活だ!と言っていますし。

小原社長:ええ。私は解雇はしたくないですし、する気はないです。縁があってうちの会社で働いてくれているのですから、解雇しなくていい経営状況をつくっていかないといけませんね。

日本国内に製造拠点を~新Made in japan主義~

中野:工進さんは、本当の意味で「お客様第一主義」の会社だなと感じます。商品は国内外を含めて類似品や競合品が数多く出るわけですが、それでも工進が欲しいと言ってくれる人がたくさんいます。お客様第一を貫いてきている結果ですね。 海外工場での生産が多いこの時勢に、あえてMade in japanを再強化軸として、本社隣りに工場投資をなさいました。社長曰く『新Made in japan主義』ですね。国内のお客様の期待にお応えするためには、工場が手元にないとダメだという発想です。 ASEANや海外に行くと工進さんのポンプは高級品です。高いけれども物が良い。そこもMade in japanですね。

小原社長:タイでも中国でも同じポンプは作れるんですよ。実際、まだ作っているんです。お客様から「日本で作る物にはMade in japanを入れてください」と言われますから、大きな信頼のひとつになっているようです。買うお客様、売るお客様にとっても、安心感と信頼感がMade in japanにはあるんです。

中野:かといって日本製であればどこで作ったものでも良いというわけではなくて、「日本の工場で作ったものとして欲しい」と、ハイエンドのお客様はそこまでおっしゃいますしね。

小原社長:Made in japanとなるとコストと人件費の問題が出てくる。そこを我々は海外で作るのと変わらないコストで作る。そのためには必要な設備は入れる。そして少しの皆の努力でもって、やれば作れるはずやと。ただ拠点を海外から日本に移すだけなんだと言ってね。そんな想いがあって、日本での「ものづくり」をもう一度やり直そうと思いましたね。

中野:世界でも人件費が高い日本で、海外と同じ値段で作るために設備投資をされたと。そこに挑戦しましょうとおっしゃるのは大胆だと思います。これも時代の変遷をちゃんと見定めた上での意思決定だと思います。 工進さんは新しいチャネルにシフトするということを大胆にやってこられました。そこに踏み込むことで出入り禁止にされてもおかしくないようなルート開発であっても、強い意志であえてやってこられたんです。それは、このチャネルが沈んでこっちが伸びる、いずれこっちが主力になるんじゃないか?という情報をしっかり見定めて経営判断なさってきたからだと思います。現在最適でなく将来最適のための投資もそうですし。これを続けてきたから、ものづくりのメーカーとしてはハードルの高い100億というところもクリアできたんだと思います。


アジアをはじめ、南米・ヨーロッパに販路を開拓。新・メイドインジャパン主義が選ばれるブランドに

経営者の意思決定 未来への視点

中野:やっぱり経営者の意思決定って未来だと思うんです。やっぱり経営者はそうじゃないとダメで、従業員と同じ今を生きたらダメだと思うんですよ。

小原社長:社員からしたらね、私が新しく方針を出したら「うちの社長はえらい無茶な方針を出してくれるな」と(笑) 例えばね、先ほど財務体質の話をしましたけれども、国内の問屋さんは商品を売っても手形で頂戴していた。でも海外は、もうそんな習慣あらへん。もうLCで済みます。現金決済なんです。だから国内でそういった古い風土・商習慣でビジネスをしてたら問題やと考えて、営業会議で「今までは手形取引をしていたけれども、明日からは現金取引にしましょう。お客様のところに行って、そうお願いしてきなさい」と言ったんです。 営業社員は「他社はまだ手形なのに、ありゃー、大変やな」と。しかしそこはお客様を一軒一軒まわってもらいましたよ。最初はNOというお客様も多くて、「もう工進さんでなく、よそにするわ」と言われるお客様もいらっしゃったと思います。しかし地道にお話を申し上げまして、おかげさまで今では全社、現金取引に変えていったんです。

中野:あの時、担当営業の方と話をしたのをよく覚えています。そんなことをしたら取引先を切られると社長に上申して、「まいった」と言っていましたね。そうしたら小原社長は「切られるんだったら切られて良い。このダメージの件は、評価から外しても良いから」とおっしゃったんです。だから担当者が頑張れたんだと思いますよ。これは経営意思決定だから、良いからやりなさいと。しびれましたね。 その時は僕も大丈夫かな?と思ったんですけど、結果的にやりましたね。業界が悪くなってくると、苦しくなってから現金決済と言ってくる会社って結構あるんです。よい時に、お互い力がある時に商売上の馴れ合いを解消して、新しい取引の形にしてきましょうよということ、今になったらプラス双方向、そういうことをやってこられた。だからやっぱり工進さんは一歩先だなと思うんです。


<< 前へ 【1】【2】【3】次へ >> 


小原 勉(こはら・つとむ)氏
株式会社工進 代表取締役社長

本社所在地 : 京都府長岡京市神足上八ノ坪12番地
設立 : 1948年
資本金 : 9,800万円
従業員数 : 190名
事業内容 : ポンプ・噴霧器の製造及び販売
中野 靖識 中野 靖識(なかの・やすし)
株式会社船井総合研究所

ビジネス全般にわたり幅広いコンサルティングフィールドを持つ。国内企業を支援することで「強い日本の再生」を自らの志とし、大手企業から中小零細企業まで、がんばる経営者、現場責任者のサポーターとして活動している。主にコンシューマー向けの企業の現場における具体的な活性化業務に従事し、メーカーの経営戦略立案、展開サポートに多くの成功事例をもっている。



おすすめ商品