明日のグレートカンパニーを創る 株式会社 船井総合研究所

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対談集

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飲食/レンタル/賃貸管理

株式会社ありがとうサービス 代表取締役経営最終責任者 井本 雅之氏 

対談者:船井総合研究所 代表取締役社長 高嶋 栄 (注:肩書き等は掲載当時のものです。)



やると決めたら誠心誠意

高嶋:借入金の話もありましたが、経営面ではいろいろと大変な思いもされて。そういった場合、そのまま消えてしまうケースの方が多い中で、それを乗り越えて上場までするケースはそんなに多くないと思うのですが。

井本氏:よく、戦略があったんでしょうと聞かれますけれど、戦略なんてないんですよ。大型店がどんどん出てきて、小さなスーパーを潰さないといけなくなって、次を考えていた時に「ブックオフ」が出てきた。それがリユースの取っ掛かりです。本当に目の前のことを一つひとつ解決していく中で、たまたま今の形になって。

高嶋:立派な経営計画や戦略を組んで将来に対する目標を持ってやっていく、という考え方が一般的だと思いますが、井本さんの場合は戦略ではなく、いろいろな現実があって、その目の前の問題を解決する中で、その一つひとつがだんだん大きくなってきたと。そういう意味では「戦略」というより「生き方」になりますかね。

井本氏:そう。なんであっても覚悟を決めてやる。やるとなったら、あとは誠心誠意。

高嶋:井本さんの場合は、もともと持って生まれた人間性が背景にあるので、自然に覚悟を自分の中に持ちやすかった、そういう方なんじゃないかと思います。他の経営者の方がこの話を聞かれて、自分自身が覚悟をしっかり持たないといけないと思ったとき、どうアドバイスされますか?

井本氏:お坊さんの禅問答みたいな話になるけども…何のために生きているのか、というのをどれだけ真剣に考えたか、というのはあるかなと思う。何をしに、今この世の中に生まれてきたんやろうかと。戦略をいろいろ練る時間はあっても、そういう根源的なことを考える時間というのは、考えざるを得ない時期になったら考えるだろうけど、得てして少ないかなと。そこのところを考えてみるのはいかがでしょうか?というところかな。



フランチャイズ契約で大切なこと

高嶋:いま事業として、リユースのほか飲食もされていますよね。
飲食はフランチャイズの形態で、全国的にあるお店を井本さんのところで展開されていらっしゃいます。業績のほうはいかがですか?


笑顔で語る井本氏

井本氏:たとえば「モスバーガー」はフランチャイズの中でも店舗数が多い方です。加盟店の皆さん方もどんどん勉強されているので、すごくレベルが上がっているなと思いますね。

高嶋:フランチャイズビジネスと上手に向き合うコツみたいなものはありますか?

井本氏:フランチャイズ本部に対して、楽に儲かるフランチャイズはないかな?と思って探していると、うまいこと儲けてやろうという考えの本部と引き合う可能性が高いように思う。やっぱりまじめに商売を考えている加盟店が、まじめに商売を考えている本部と引きあう。そんな感じはするね。

高嶋:なるほど。フンランチャイズにおいて経営者は、やはりそこを見られますか?フランチャイズの仕組みと契約以前に、経営者の方に直接会って、考え方などを確認されているのではないかという印象がありますが。

井本氏:もちろんそうですよ。やっぱり結婚する相手みたいな話やから、本人同士がいろいろな話をして確認するというのはすごく大事だと思う。

高嶋:これまで井本さんが社長として頑張ってこられた背景があると思いますが、経営者として、奥様との夫婦二人三脚の話をされる方は少ないですが、井本さんも奥様に影でいろいろと支えられたことが多かったのではないかと思うのですが。いかがですか。

井本氏:正直やっぱり、嫁さんの力はかなり大きいと思うね。ここでええことを言ったとしても、やっぱりいろいろなことがあるからね。家に帰って、ふと相談するでしょ?そうするとハハハ!と笑って「アホなこと言わずに、ちゃんと仕事したら?」みたいなことを言うのよ。それで目が覚めるね。



強くてやさしい 本当の「いい会社」

高嶋:今では株式上場もされて。これから先は、昔のようなことはあまりないでしょうから。

井本氏:いや、やっぱり今みたいなときが一番ピンチじゃないかなという気がするよ。こうやって表彰もしていただけて、これからどういうビジョンを持つかとか。高い目標を設定したら、それなりに垂直登攀(すいちょくとうはん)していかないといけない。自分自身が、もうこれでええんじゃないかというのが出てきたら、これはもうトップを辞めなあかんと思うし。今が一番ピンチやなという感じは強いね。

高嶋:これは一般論ですが、確かに上場した直後は少し苦しくなったりしやすいですよね。気持ちのどこかで上場できたという安堵感が、それはトップだけでなく現場の社員も含めてかもしれませんけれど、そうなりやすい現実がありますね。ひとつの節目の中で、息を抜きすぎるのも良くないと。今、あらためて上場後の新しい未来づくりにも取り組まれていらっしゃいますよね。



笑顔があふれる社員の皆さん。



井本氏:リユースのほうでは、日本を出て、もっといろいろなことができるのではないかなと思っているね。あとは、ある程度のスピードで、そのエリアで店舗を増やしたら、ダイヤモンドみたいな店を作らんと。店舗数だけの話やったら意味がないからね。

高嶋:海外はどのあたりに進出していますか?

井本氏:今、東南アジアのほうに古着の販売を出しています。このあたりの仕組みをもう少しブラッシュアップしていきたい。古着以外もニーズとしてあると思うので、そこをもっと仕組みとしてやっていきたいなと思います。

高嶋:これからは国内だけでなく海外でもされると。売上的にはどういう話をしていますか?

井本氏:売上的にはあまり話しませんね。売上よりも、うちの人はあの店に勤めているんや と、家族が自慢できるような、そういう会社にしようと。あとはやっぱり売上対比10%の計上利益を出し続ける会社。そういう、強くてやさしい、そういう本 当のいい会社にしようよと。去年よりもこれだけ伸ばそう、そういった連続で、業績は自然と上がっていくんじゃないかなと。

高嶋:グレートカンパニーの企業をリストアップさせていただくと、やはり数字の目標よりも理念やトップのビジョンが、すごく個性的で魅力的だと、いつも感じています。井本さんのところもそうですよね。

井本氏:この限られた一生の中で従業員さんに働いてもらうということは、すごく長い時間を一緒に過ごすことになる。やっぱり、過ごしたあと、ありがとうサービスで働いていたから、こんなことを言えるようになった、と思ってもらえるようにしたいというのは、強い思いですね。
実は昔、非常に厳しかったときに、お金が無くて。でも、あった!と思ったの。それは従業員が積み立てていた退職金(笑)。それで従業員100人以上、ひとり一人にね、会社はこういう状況なので、貸してくれと頼んだの。

高嶋:その当時、全員に?かなりの金額になりますよね。

井本氏:そう。そうしたら全員、諦めたのかどうか、分かりましたと貸してくれて。それで助かったのよ。そういう経験があるから、従業員にはかなり助けてもらっている というか、根っこのところは強いね。だからもし、自分が知っていることや経験したことで役に立つことがあれば、できるだけ伝えたい。そういう思いは強いね。やっぱりそれは先代や先々代がこれまでまっとうな商売をやってきて、従業員を大事にしていたから、たまたま僕の代にそういう無理をお願いしても、しょ うがないねと聞いてくれたと思うんですよ。やっぱりそういう従業員さんがいる会社というのは、ひとつの誇りやと思うし。僕の代になっても、そうやって全体のことを思ってくれるような人がいっぱいいる会社にしたいと思うね。

後継者について

高嶋:井本さん、57歳になられますよね。お互いにそんなに若いとはいえない年齢ですよね。




船井総合研究所 高嶋 栄

井本氏:いえ、まだまだ(笑)

高嶋:後継者を含めて、どうやって準備されているのかなと。考える時期に来ているのかなと思うのですが、どうお考えですか?

井本氏:おっしゃるとおりで、30後半ぐらいから、やっぱりいろいろなことを実際に経験させなければいかんのやないかなと思うね。だから規模は小さくても何かの事業を任せて、経営者的なことをやらせながら、こいつかな、あいつかな、と見ていく。今そういうふうに考えています。

高嶋:株式上場されましたから、片方に株主がおいでになるという状況で、上場会社の経営を井本さんから引き継げる方をたくさん育てておかないといけないでしょうけれど。片腕になる人を育てるコツがあれば教えてほしいですが。

井本氏:逆にそれは教えてほしいけど(笑)。ただ、舩井最高顧問がされていたように、やっぱり時間を一緒に共有するということが、手間が掛かるようでも一番効果的な気がする。だからなるべく会議に出席させるとか、何人かの幹部とは一緒に過ごすように、少しずつ意識していますね。

高嶋:もし井本さんがご実家に帰られたときに、ご実家の経営が何の問題もなく順調に経営されていたとしたら、経営に対する考え方は、今と違ったでしょうか。

井本氏:順風満帆のところに私が帰っていたら、たぶん潰しとったと思いますわ。勉強もせんし、やっぱり錯覚すると思う。従業員さんは言うこと聞いて当たり前とか。その行き先は倒産じゃないかなという気がするね。

高嶋:確か、長年、社員手帳を作られていますよね。

井本氏:もう20年くらい作っていますね。

高嶋:入って来られるかたに、一番大切にされているメッセージは何でしょう?

井本氏:考え方として、必要、必然、ベスト。起こることは自分にとって必要なことで必然なことやと。後から良かったと思えるくらいのことを、これからやっていかないかんという考え方。原因他人論にしない、原因自分論でやろうと。自分の人生、自分持ち。そういうことを腹に落とし込めたら、だいたいのことは大丈夫かなと思うね。

経営者の原点



(写真左)社名に「ありがとう」という言葉を用いたのは、支えてくれた方々への感謝の気持ちを表現
したかったから。
(写真右)社長の考えを共有するために毎日のメッセージは欠かせない。会社の理念が記されたメモ帳も
社員の必携品となっている。

高嶋:なんだか、なつかしいような気がするね。井本さんの話を久しぶりに聞いていたら、舩井幸雄流ですね。我々は船井総研流。船井流というものを時代の中に合わせて、表現をし直している。井本さんの話を聞いていると、本当に30数年前からの表現や想いも含めて、今も舩井幸雄流のままなんだなというのがよく分かりますね。

井本氏:舩井最高顧問から何を学んだ?とか聞かれてもね、いや、分かりませんと言うんやけども、あたかも自分で考えたように言ってることが、昔の舩井最高顧問を知っている人が聞いたら「それは舩井幸雄が言うとったことやないか」というのが結構あるね(笑)

高嶋:どこから切ってもそうですね。舩井幸雄流の、その言葉と考え方が、いま現在も原型のまま残っておられるという。なんだか嬉しくなりますね。

井本氏:私やっぱり世の中に出て一番最初に接した人で、経営者で、言っていることとやっていることが一緒で。そういうところみていると、経営者って普通こうなんやな、と思ったね。

高嶋:私も、言葉をあまり変えずに、できる限りシンプルに表現すべきだと思いながら、ついつい時代に合わせて少し表現を変えたりしますけれど、井本さんは相変わらず井本さんですね(笑)今の船井総研のメンバーにも、舩井幸雄流はこんな感じだったんだよというのを知ってもらいたいですね。
井本社長、本日はありがとうございました。

井本氏:ありがとうございました。

(前編はこちら

井本 雅之(イモトマサユキ) 株式会社ありがとうサービス  代表取締役経営最終責任者  井本 雅之(イモトマサユキ)氏
 株式会社ありがとうサービス 
 代表取締役経営最終責任者


   設立 :2000年10月
   代表:井本 雅之
   本社所在地:愛媛県今治市八町西3丁目6-30
   従業員数:158名(臨時雇用者数 1,159名)
   事業内容:リユース店の経営、飲食店(レストラン・ファーストフード)の 
   経営、DVD・CDなどのレンタルおよび販売、不動産の賃貸
   企業HP:http://www.arigatou-s.com/
  


高嶋栄(タカシマサカエ) 船井総合研究所 代表取締役社長 高嶋 栄(タカシマサカエ)
船井総合研究所 代表取締役社長執行役員CEO 

経営コンサルタントとして約30年、中小企業から大企業、行政まで数多くの組織活性化や企業再生を手がける。
また、船井総合研究所の発展とともに、「船井流人財育成法」、「船井流組織活性化法」を確立した第一人者である。
2010年3月より、第4代代表取締役社長に就任し、次世代に向けた会社づくりに取り組んでいる。